塾長のコラム (順次掲載版)
2025年 7月〜12月分 (テキストのみ)
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2025年9月25日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第13回目、最終回となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒステリーhttps://ja.wikipedia.org/wiki/月経前症候群https://ja.wikipedia.org/wiki/女の平和https://meme-kobun.com/koizumi/https://meme-kobun.com/sitemap/進次郎構文https://x.com/nanimobot進次郎構文bot面白ろ構文*前回扱った<結果構文>に至り、いよいよ用語の持つ意味、定義性が曖昧の度合いを強め、換言すれば、<崩れ>の進んだ構文の話となりました。*今回は、構文ネタの最終回として、更に崩れの進んだ<面白構文>を採りあげましょう。*毒を喰らわば皿までではありませんが、英語に関する話題をやや離れ、日本語との関連からの考察を強めます。*まぁ、<学校英語を超越した>鹿爪話が続きましたので、皆様お疲れかと思います。文字通りの余興ネタとお考え下さい。*とは言うものの、そこに何らかの真実を掴んで戴ければ塾長は嬉しいですね。ヒス構文ヒス構文とは何か?*ヒスとはヒステリーのことですが、現在ではこの用語は精神医学の世界ではもう使われていません。*ヒステリーは、「子宮」を意味する古典ギリシア語が由来ですが、この語は、紀元前の『ヒポクラテス全集』に見られる言葉であり、脳や精神の機能を知らなかった古代ギリシャ・ローマでは、<女性の様々な病気>の原因として、子宮に因果関係を求めたことから作られた用語です。*昔日から、「男は頭脳で考え、女は子宮で考える」と言われ続けて来た様ですね。*女性の月経前症候群 (premenstrual syndrome PMS) と一部オーバーラップして成立した概念か、と塾長のみならずほぼ誰でも思い付くでしょう。*因みに native 女性は menstruation とは普通言わず、period と言います。e.g.. I have trouble getting my period suddenly.突然生理が来て困ったわ。*ヒス構文自体は、<女性に拠る、論理が破綻した強引な我田引水的な言いくるめ>、のことを指しますが、、<相手が冷静に幾ら論理的な説得を試みても、全く聞く耳を持たず、手を変え、品を変えて自説をまくしたて続ける>のがその特徴ですね。*1つの国家がこの様な様を呈することはあまり見ませんが、女性、特に母親の態度として斯かる言動が世間一般にしばしば観察され、それを見た子供達−女児も含めて−は、女性とはこう言うものなのだとの強い思いを抱くに至ります。*これが、女性蔑視や、女には学問は要らない、数学などの論理に立脚する科目には女子は向かない、などの社会通念−しかも女性自らがそれを支持する傾向にある−をもたらしてきたのは間違いがないところかと思います。*女性の側も(女性の視点に立った)論理的な思考の道を身に付け、自らを進んで教育すべきでしょう。*塾長のコラムをお目通しのエリート女性には無縁のことであるとは思いますが。-------------------------------------------------「ヒス構文」という言葉を世間に広めたのは、お笑いコンビ・ラランドのサーヤさんです。サーヤさんがお母さんと大喧嘩した経験をもとに動画が作られており、その内容が多くの共感を呼び、今では幅広い層に知られる言葉となっています。お母さんヒス構文解説 実践編ララチューン【ラランド公式】 2023/11/25https://youtu.be/jloOI9vKoCAこの動画からそのまま引用させて戴きますが、ヒス構文には以下の5パターンが存在します:ヒス構文T 論理飛躍型: 相手の発言を大げさに解釈するヒス構文U 論点すり替え型: 論点をすり替え話題を変えてしまうヒス構文V 自己否定型: 自分を過剰に否定し相手の同情を引くヒス構文W 大胆結論型: 無理やり結論を出して話を終わらせるヒス構文X 大量連射型: 次々に言葉を繰り出し畳み掛ける*上手く纏め挙げたものと感心せざるを得ません。*この様な言辞にて、その場は言いくるめることが果たせても、相手はこの様な人物の人格が低い、頭が悪い−大脳皮質に拠る脳制御が悪い−との感想を持たざるを得ず、中長期的に見て結局得になることは有りません。早晩、周囲の者は離れていく筈です。*間違った修辞用法とでも言えるでしょう。尤も、修辞以前の<無茶苦茶>の段階と言うべきものであり、ケモノが吠えているのと大差無い様に見えます。女の論理とは何か?*海外では、<ヒス構文>に関する分析は目にしませんが、女性一般のモノの考え方、捉え方を考察したサイトは散見されます。*本コラムは英語に関するコラムですので、英語での記述をご紹介しましょう。https://drama-comedy.kiev.ua/en/afisha/zhinocha-logika/ウクライナの舞台劇の紹介です。Women’s logic is a firm belief that any objective reality can be overcome by desire.女の論理とは、どんな客観的現実も欲望によって克服できるという確固たる信念である。There are countless anecdotes and aphorisms about women’s logic, the authors of which are, of course, men. In their opinion, the absence ofany logic is “female logic”. (But no logic will help a man prove this to a woman). Men are happy to joke about the incomprehensible female logic,but as a result, they are disarmed in front of her. A lonely man would never think of looking for a life partner in a cemetery… But a lonely woman,the heroine of our story, goes and finds one. But not one, but two at once! As a result, she faces a difficult choice: with which of them toconnect her fate. No matter how much the head thinks, the heart will still make you do it your way! This is the phenomenon of female logic. Wherethe mind is powerless ? female logic wins! The audience of the performance will be able to see for themselves.女性の論理に関する逸話や格言は枚挙にいとまがないが、その作者はもちろん男性である。彼らに言わせれば、論理がないのが「女の論理」なのだ。(しかし、男が女にそれを証明するのに役立つ論理はない)。男たちは、理解不能な女の論理をジョークにして喜んでいるが、その結果、女の前では武装解除されてしまう。孤独な男は、墓地で人生の伴侶を探そうとは思わないだろう......しかし、この物語のヒロインである孤独な女は、墓地に行って人生の伴侶を見つける。しかし、一人ではなく、同時に二人も!その結果、彼女は難しい選択に直面することになる。頭でいくら考えても、心は自分のやり方でやらせようとする!これが女性の論理の現象である。心が無力なところでは、女の論理が勝つのだ!公演の観客は、自分の目で確かめることができるだろう。*まぁ、最後は<何だか良く分からない>内に女性に言い負かされ、骨抜きにされてしまう男の側の情けなさも露呈するとの按配ですね。女は子宮で考えるのか?http://www.asahi.com/area/toyama/articles/MTW20180627170140001.html「子宮で考える」 【環境教育コーディネーター 本田 恭子さん】「しかし、本当に「子宮で考える」ことより「頭で考える」ことの方が大事で、格上で偉いことなんだろうかと、当時もそして今も思う。確かに、経済に支配される現代社会では、経営者も政治家も頭脳プレーによって権力を得て、社会を動かしているように見える。危険と隣り合わせの高層ビル建設現場で働く技能労働者よりも、高層ビルの一室でプログラミングするIT技術者にと、子どもも親も将来の夢を語る。頭脳を生かすことは、生物の頂点に立つ人間としての誇りであるかもしれない。と同時に、頭脳に溺れてはいけない。そして注目のAI時代へと、人類は足を踏み入れた。今わたしの中では頭脳より子宮が、うずき始めている。「女の子宮」だ。セックスというよりは生殖本能、次世代へと命をつなぐ母性本能、種の保存への危機感、大げさに思えるが、そんな本能的な危機感が、わたしを突き動かす。」*ギリシア・ローマ時代の頃から、「男は頭脳で考え、女は子宮で考える」と言われ続けて来たのですが、そこに優劣は無く、子宮で考えるにしてもそこには何かの、女性にしか為し得ない価値がある、との、女性視点での論理ですね。*この様な、自らの女性性に関する考察を女性はどんどんと世に発信していくべきだろうと思います。*古来より有名なギリシア喜劇に、アリストパネスの『女の平和』 (原題: Lysistrata)があり、映画化などもされています。*紀元前411年のアテネが舞台設定となります。*<男の論理>に拠り、戦争に明け暮れる男達に対して、<女の論理>で対抗せんとの<抗争>劇なのですが、結局のところ、男の論理とは<睾丸が編み出した>論理でもあり、子宮を後ろ盾とする女の論理と同じであり、対等であることが剥き出しにされます。*生物学が専門の塾長からは、性染色体に拠り性が決定され、特に胎児の脳がどのような男女の特性に分化していくのか、などと語りたくなるのですが、英語コラムゆえそれは控えますね。*或る意味、男女各々が性ホルモンに操られ、男と女に分かれて悲喜こもごもを繰り広げて人生を送る−実はこれら全てが comedy とも言えそうです。Horace Walpoleホレス・ウォルポールAll tragedies are finish'd by a death,All comedies are ended by a marriageすべての悲劇は死によって終わり、すべての喜劇は結婚によって終わるまぁ、最後は結局のところ<嬉しい仲になって仕舞い・・・>です。進次郎構文https://meme-kobun.com/koizumi/このサイトから引用させて戴くと、*進次郎構文とは、日本の政治家である小泉進次郎氏の独特な言い回しを指す言葉である。*特にトートロジー(同義反復)や冗長な表現が特徴的で、2019年9月の国連サミットでの発言をきっかけに、ネット上で大きな話題となった。*小泉氏の発言は、一見深遠な意味を含んでいるように聞こえ.が、実際には内容が乏しいことが多いのが特徴である。*このような言い回しは、政治家の言葉としては珍しく、「なんとなく癒される」ことから、多くの人々の関心を集めている。作り方まで掲載されています:小泉構文の作り方のコツ【3ステップ】小泉構文は、一見複雑に見えますが、実はシンプルな3ステップで作ることができます。1. 当たり前のことを言う2. 「だからこそ」を付け加える3. 1の内容を少し言い換えて繰り返す*Twitter上では「小泉進次郎構文 bot」という Twitter アカウントも存在しています。https://x.com/NanimoBot/status/1591357146360610817/photo/1もしかして横須賀は初めてですか?横須賀に初めて来る人は横須賀に来たことがない人ばっかりなんですよ。*禅問答めいていて特有の面白みと間延びさが感じ取れます。*相当に育ちの良いお方ですね!*国益を代表する立場の者の言動としてはどうかとも思うのですが、相手に肩透かしを喰わせて空気投げする合気道の極意に通ずるところがあるのかも知れません・・・。高等戦術です!*英語に関しては、formal と informal の英語の違いをきちんと学習した方が良さそうに感じますね。mix するのは相当にマズいことですので。*語学面に関しては現在は奥さんがしっかりと指導しているとは思います。*農林水産大臣に就任されましたが、首尾良く職務を全うし日本国民の為となる業績を挙げられんことを願います。・・・おあとがよろしい?ようで・・・。特殊構文に更に輪を掛けた<特殊過ぎる構文>シリーズを追加的に扱いましたが、今回でこのシリーズは終わりにします。native 一般が話す英語、英語現象を分析し、その成立にはどのような意味背景があるのかの考察に基づく構文分類ですが、如何にして自己の考えを第三者に対して誤解無く明快に伝えるべきかに工夫を凝らす、科学者の目指す英語表現 -言わば精緻な道具としての英語- とは大きく乖離した内容だったかと思います。皆さん自らがこの種の特殊な構文を特に進んで利用する事を塾長はお勧めしませんが、口語の casual 表現や文芸等の場で意味の取れない英文に出会った時に、ああこれかも!と分かる程度には知っておいて損はしない筈です。と言いますか、英語指導者側サイドでもこれらの用法に不明な者は少なくは無い様に思いますね。さて、次のテーマは何にしましょうか・・・。 |
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2025年9月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第12回目となります。 二重目的構文と与格構文をめぐって −構文指導における理論と実践− 中川右也https://www.chart.co.jp/subject/eigo/cnw/56/56-6.pdf英語の二重目的語構文と与格構文に関する一考察 高橋直子名古屋外国語大学外国語学部紀要 = Journal of School of Foreign Languages, Nagoya University of Foreign Studies 41 109-126, 2011-08https://nufs-nuas.repo.nii.ac.jp/records/335https://en.wikipedia.org/wiki/Ditransitive_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/二重他動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Dative_shift大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002二重目的語構文 Double Object Construction*この構文−と言うよりは文型−自体は何ら特殊なものではなく、学校英語で言うところの第4文型 S+V+IO+DO に過ぎません。(IO = indirect object 間接目的語、DO =direct object 直接目的語)*この構文の詳細な性質を語れば可なりの長丁場になりますが、ここではザッと概要だけに触れます。*皆様のアタマの中のモヤモヤ感を少しでも減らすことが主目的です。*中学英語に登場する文型ですので一見敷居は低く見えますが、奥はそこそこ深いですね。*これまでご紹介してきた真の意味での特殊構文とは異なり、<参入障壁>が低い分だけ、discussion も活発であり、web 上でも数多くのサイトを見つける事が出来ます。*それだけ、特に学校教員含め、世間の耳目を集めているトピックと言う事になるのでしょう。*これらの discussion の焦点は、S+V+IO+DO の文型を S+V+DO+ to/for IO のいずれに書き換え可能なのか、その根拠は何か、その逆は取れるのか、またこの書き換えに際してニュアンスの違いが発生しないのか、にほぼ絞られています。*おそらく、これらのサイトや論術の多くは、生徒からの質問に対し、どう指導すべきかに頭を悩ませている現場の英語教員自らが勉強して作成した regume、或いは、彼らを対象とする英語指導者の指南になります。*例えば、教員としての中川右也氏執筆の記事 『二重目的構文と与格構文をめぐって −構文指導における理論と実践−』https://www.chart.co.jp/subject/eigo/cnw/56/56-6.pdfでは、冒頭に以下の様に記されています:「2. 二重目的語構文から与格構文への書き換え教育現場では、しばしば二重目的語構文から与格構文への書き換え問題を取り上げる。その際には.通例. to与格構文をとる動詞を give型、for 与格構文をとる動詞を buy 型と分類し、方向性を含意する動詞 は give 型 に、受益性を含意する 動詞は buy 型になると教えて,学習者への定着をはかる。しかし、この教え方の問題点は、例えば「教えてあげる」という日本語に引きずられて、slow learners が teach などの動詞をも受益性を含意する動詞と見なしてしまう場合があるということで ある。そうした slow learners の蹟きを避けるためにも、 give 型動詞は三項動詞,つまり、相手 (IO) の存在なしでは行為が行えない動詞であり、buy型動詞は二項動詞にもなりえる動詞、つまり、一人でもその行為を行うことが可能な動詞であると教えた方が効果的であると考えられる。」*この、二項動詞の表現が可能で有れば S+V+IO+DO → S+V+DO for IO. が取れ、不可能であればS+V+DO for IO.となる、との区別法は you tube 動画の解説などでも普通に目にする指導法となっていますし、塾長もこの指導法で特に間違いはないと感じています。*実際のところ、中学生程度の初学者に対しては、「単にAからBへの物資の移動、情報の伝達が行われる動詞 は give 型 に、特にあなたの為に〜する(〜の為に〜を行う: 行為)の意味の動詞は buy 型になる」と、塾長も過去、拙宅近傍の補習主体の個別指導塾にて指導して来ました。*しかしこれだと、上記中川右也氏が指摘されている様に、どうしても曖昧性を排除出来ません。*上で与格と言う表現を用いていますが、これは語尾に日本語の助詞 「に」の意味の活用語尾を含む一語を指します。*英語では与格の格変化を失い、<方向性、対象性を含む前置詞+目的格>の組み合わせ全体が、与格に相当します。それらを前置詞との組み合わせから、to 与格、for 与格などと便宜上呼称していることになります。*詰まりは、ここでは前置詞は日本語の助詞に近い機能を持つことになりますね*この様な二重目的語構文から与格構文への書き換え(与格移動 dative shift)、 或いは2者間の書き換え(与格交替 dative alternation) の問題以外にも、意外や知られていない細かなこともあるのですが、それもこのコラムにてやや深掘りして進めて行きます。*二重目的語構文に関しては、大庭幸男氏が 『英語構文を探求する』 開拓社 2011 にて、70頁を割いて詳細な解析を行っていますので、興味のある方はご一読下さい。---------------------------------------------------二重目的構文を取る動詞以下の2つの条件を満たす動詞が二重目的語動詞になり、SVOO文型を作る事が出来ます。1.基本的に単音節から成る短い発音の動詞 (ラテン語由来の<高級>単語はほぼ該当しません)一般に、原語(アングロサクソン語)の動詞は 二重目的語構文を許しますが、ラテン語の動詞は許しません。これは、語源的な条件というよりも、動詞の発音上の問題が主な原因であると考えられています。英語原語の動詞は、ラテン語動詞によく見られる複数の音節に対して、単一の音節を持つことが多く、音韻学的特性から二重目的語構文の成立を許していると考えられてます。*俗ラテン語の1つであるフランス語では二重目的構文は取りません。Je donne le stylo a Pierre. わたしはピエールにペンをあげる。= I give the pen to Pierre.Je donne Pierre le stylo.×但し、目的語を代名詞にすると、2つの目的語を繋げて書く文は取れ、Je le lui donne. は成立しますが、英語で言うところの二重目的語構文とは性質が異なります。*(日本の) フランス語の指導者も英語の二重目的語構文との意味合いの違いが分かっていないままに、<二重目的語>の用語を使っている様に見受けられます。*これは、英語の場合と異なり、所有者、被所有者の関係にない2つの代名詞目的語にも広く使われる形式です。2.S+V+IO+DOの関係に於いて、IOがDOを所有する(動作の結果として所有することになる)意味合いを持つ動詞子供が二重目的構文を習得する過程で、最初は様々な動詞にて不文となる英文を話しますが、やがては、2つの目的語間の、所有者、被所有者の関係に(無意識的ではあっても)気が付き、正しい表現が可能となって行きます。尤も、これは法則性を一般化して獲得すると言うよりは、個々の単語の扱い方を獲得しているとの色合いが強いとの指摘もあります。まぁ、言語学習の積み重ねですね。*所有、被所有の関係から、利用される動詞は、与える giving, 連絡する communicating, 作る creating, 送る sending, 得る obtaining の意味の動詞になります。それらの動詞の内、*S+V +DO の形で文が成立不可能 (三項動詞)→ S+V+DO+ to +IO に変形可能*S+V +DO の形で文が成立可能 (二項動詞)→ S+V+DO+ for+IO に変形可能*上記<法則>を知っておくだけでも大きな力になる筈です。*これで中学生からの質問に対してもキチンと説明出来ますね。以下一部の動詞例:*全て、2つの目的語の間で、物や情報の遣り取りが行われることにご注意下さい。give 与えるLucy gave Mary the book.Lucy gave the book. ×⇔Lucy gave the book to Mary..*但し、直接目的語が代名詞となる場合は、このSVOO構文は取れなくなります。Lucy gave Mary the book.Lucy gave her the book. ◯Lucy gave Mary it. ×.Lucy gave it to Mary..◯Lucy gave it to her.◯Lucy gave her it. ×.また、Lucy gave the book to her. これは文法的には正しいのですが、Lucy gave her the book. と言うのが標準的です。cf. Barbra Streisand の Woman In Love の歌詞にI turn away from the wall/ I stumble and fall, but I give you it all私は壁から向き直り、つまずき、転びながらも、すべてをあなたに捧げるこれは I give you it all → I give it all to you とすべきと一瞬思いますが、it all = everything / all things ですので問題なく利用されます。*2つの目的語の間に副詞を入れる事はできません。Lucy gave Mary carefully the book.×Lucy gave Mary the book carefully .◯*間接目的語が長い場合は、SVOO 文型は避けます。Lucy gave the policeman standing by the door her ticket. ×Lucy gave her ticket to the policeman standing by the door. ◯Lucy donated/contributed Mary the book.× (単音節ではない動詞)Lucy donated/contributed the book to Mary .◯Lucy offered Mary the book.Lucy offered the book to Mary..ルーシーはメアリーに本を差し出した。Your portrait doesn't do you justice.= Your portrait doesn't give you justice.あなたの肖像画はあなたを正当に評価していない。→君は写真より実物の方がずっといいね。I'm in a bit of a bind, and I need you to do me a favor.ちょっと困っているんだけど、君に頼みがあるんだ。= I'm in a bit of a bind, and I need you to give me a favor.do 効果、結果を与えるdo someone/something good/harm= to have a harmful or good result or effect有害な、あるいは良い結果や効果をもたらす。It'll do you good to take a rest.君は休んだ方がいい。The publicity did her career no harm.その宣伝は彼女のキャリアに何の害も与えなかった。= Her career did not suffer any harm from publicity.lend owe 貸し借りするLucy lent Mary a large sum of money.ルーシーはメアリーに大金を貸した。= Lucy lent a large sum of money to Mary.(借りたものであるにせよMary は大金を握って居ます)Mary owed Lucy a large sum of money.メアリーはルーシーに多額の借金があった。= Lucy owed a large sum of money to Mary.(Lucy が多額の金を所有しています)cf. owe someone something = owe something to someone= someone lend money to you and you have not yet repay or paid it back人に金を借りて返していない、借金している、借りている、(転じて)恩義がある、〜のお蔭だ*owe はちょっと意味の取りにくい動詞ですね。*= to have to repay, be indebted for 返さねばならない、負債を負っている*should pay, should repay にサッと置き換えると意味が掴めます。*動詞 owe の元々の過去形は ought です。Lucy lent Mary a large sum of money.(大金を貸したが返却の有無については触れていない)Lucy lent Mary a large sum of money, and Mary has not yet paid it back to Lucy.(大金を貸したが返却されていない)= Mary owes a large sum of money to Lucy.Perhaps we owe these people more respect.おそらく私たちは、この人たちにもっと敬意を払う義務がある。= Perhaps we should pay more respect to these people.I owe you an apology. You must have found my attitude very annoying.私はあなたに謝らなければならない。あなたは私の態度がとても腹立たしかったに違いない。I owe her a big debt of gratitude.僕は彼女には大きな恩義がある。= She has done me a great favor and I want to repay it.(精神的に彼女の恩義に報いねばならないと思って居る)keep 取っておくLucy kept something to eat and drink for all the people who arrived late.Lucy kept them something to eat and drink.ルーシーは遅れて到着した人たち全員に何か食べたり飲んだりできるものを用意しておいた。Lucy booked Mary a table at the restaurant.Lucy booked a table for Mary at the restaurant.ルーシーはメアリーにレストランのテーブルを予約した。Lucy promised Mary a car for her birthday.Lucy promised a car to Mary for her birthdayルーシーはメアリーの誕生日に車を贈ると約束した。(promise は単音節ではありませんが SVOO 文型を取る珍しい例です)buy 買い与えるLucy bought Mary some food.Lucy bought some food. ◯⇔Lucy bought some food for Mary..◯Lucy purchased Mary some food .×(単音節ではない動詞)Lucy purchased some food for Mary ◯Lucy got Mary some food. ◯Lucy obtained/collected Mary some food. ×(単音節ではない動詞)Lucy obtained/collected some food for Mary ◯.Lucy sold Mary the book.tell 言葉で伝えるLucy told Mary the news.Lucy told the news.×⇔Lucy told the news to Mary.Lucy explained/announced/reported Mary the news. × (単音節ではない動詞)Lucy explained/announced/reported the news to Mary. ◯Lucy read Mary another story.Lucy read another story for Mary.ルーシーはメアリーに別の物語を読んであげた。Lucy wrote Mary a letter.Lucy wrote a letter to Mary(ここの write は<手紙を書いて送る>、の意味であり、本を執筆する、の意味ではありません)Lucy wrote Mary a story.Lucy wrote a story for Mary.(こちらの write は執筆する、の意味です)Lucy sang Mary the song.Lucy sang the song for Maryshow 示すLucy showed Mary her answer.Lucy showed her answer to Mary.Lucy exposed Mary her answer × (単音節ではない動詞)Lucy exposed her answer to Mary ◯Lucy found Mary the book.Lucy found the book for Mary.ルーシーはメアリーに本を見つけた。bake 作るLucy baked Mary a cake.Lucy baked a cake. ◯⇔Lucy baked a cake for Mary.Lucy made Mary a sandwichLucy made all the children toys.Lucy cooked Mary a chinese dish.Lucy constructed/designed/created Mary a cake. × (単音節ではない動詞)Lucy constructed/designed/created a cake for Mary. ◯Lucy poured Mary another drink.Lucy poured another drink for Mary.ルーシーはメアリーに飲み物をもう一杯注いだ。ship 物を送るLucy shipped Mary a parcel.Lucy shipped a parcel. ×⇔Lucy shipped a parcel to Mary.ルーシーはメアリーに小包を発送した。Lucy sent Mary a letterLucy mailed Mary a letterLucy is posting Mary a cheque tonight.ルーシーは今夜メアリーに小切手を送ります。If I write a letter, would you post it for me?私が手紙を書いたら、投函してくれますか?(この post はsend の意味ではなく、投函する、の単なる動作を表します)Lucy took Mary the book.Lucy took the book to Mary.ルーシーはその本をメアリーのところに持って行った。Lucy brought Mary the book.Lucy brought the book to Mary.ルーシーはその本をメアリーのところに持って来た。(take 相手のところに持って行く vs. bring 相手のところに持って来る)Lucy handed Mary a little rectangle of white paper.Lucy handed a little rectangle of white paper to Mary.ルーシーはメアリーに四角い小さな白い紙を手渡した。Lucy passed Mary the booksLucy passed the books to Mary.ルーシーはメアリーに本を渡した。Lucy tossed/ threw Mary the ballルーシーはメアリーにボールを投げた。二重目的構文を構成しない単音節動詞の例*2つの目的語間に所有、被所有の関係がありません。Lucy washed the dishes for Mary. ◯Lucy washed Mary the dishes × (Mary は dishes を所有しない)ルーシーはメアリーのために皿を洗った。Lucy drove the car to Chicago. ◯ILucy drove Chicago the car. × (Chicago は car を所有しない)ルーシーはシカゴまで車を運転した。Lucy drove the car for Mary. ◯Lucy drove Mary the car. × (Lucy は car を所有しない)ルーシーはメアリーのために車を運転した。 |
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2025年9月15日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第11回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/結果構文https://en.wikipedia.org/wiki/Resultativehttps://justpublishingadvice.com/resultative-adjectives/https://en.wikipedia.org/wiki/Absolute_constructionChristopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002結果構文 Resultative constructions*塾長のコラムをお読み戴いている方々からは、また妙な名称の構文登場か、もういい加減にして呉れ、とのお叱りを受けそうですが、何分このコラムを執筆している塾長本人も辛いと言うことをお察し戴ければと切に願うところです。*あと数回で<なんとか構文>の話には一度ケリを付けますのでご容赦を!*さて、英語の特徴として、完成された文の最後に、同時発生的に付帯的に起きていること(同時性)、主文が成立する理由(前時性)、或いは時間的には逆にその結果としてもたらされた事(後時性)を示す語句を添えて、更に完全文をスーパー完全文とする言語現象が通常のこととして観察されます。*塾長コラムでも優れたものとして頻回採りあげている動画に、ニック式英会話がありますが、そこで主宰者のニックさんが「ちょい足し」英語と絶妙な命名を行って居る英語現象がそれに当たります。*分詞構文などもその一種で、基本は、主文 (=主節)に対しての、時間的な同時性(付帯状況)、その前(理由の開陳)、その後(帰結)を表す表現ですね。*これは、読み手側が文脈からいずれかを判断してくれとの、半ば責任を放棄した様な表現であり、明確な論理展開で書き手側の考えを開陳する表現法では無い為、学術論文では利用が控えられる事はこれまでに触れて来たところです。*同様に、文末に語句を追加で添える用法は、基本的に口語表現であり、意味の曖昧性を完全に排除出来るものではないことがお分かり戴けると思います。*この内の、後時性の意味合いを持つ表現の内の或るものを結果構文と名付けて解析が加えられている、その様にご理解戴ければと思います。*結果構文に関しては、大庭幸男氏が 『英語構文を探求する』 開拓社 2011 にて、60頁を割いて詳細な解析を行っていますので、興味のある方はご一読下さい。*それだけの頁を割いていると言う事は、<結果構文>が一筋縄では行かない多義性、構文作成上の揺らぎを多く抱えていることの裏返しであるとも言えましょう。*ここでは単文の表現のみを扱うこととし、例えば so...that の様な構造の文は扱いません。---------------------------------------------------結果構文とは何なのか?結果構文として毎度登場する例文、He painted the wall red.彼は壁を赤く塗った。*この文は、He painted the wall. なる完全文の後ろに、 red を<ちょい足し>した構造です。*文型としてはSVO + Cであり、OとCがSVの関係になります。*Cには形容詞、前置詞句を一般的に取りますが、名詞(句)も含めた文を結果構文として見倣す者もいます。*SVOCの文型を取るが、Vとして普通はそれを許さないVが利用されている場合、結果構文と判断するのも良いでしょう。*Cには現在分詞と過去分詞は取れません。*即ち、動作性を残す可能性のある語は使えず、飽くまで事象の静的な状態を描写出来る純形容詞、またそれに相当する前置詞句が利用出来るということですね。*<まずはペンキを塗る行為を行い、そうした結果として壁が赤くなった>と、時間の前後性が存在すると解釈は出来ますね。*しかし、淡々とした結果なのか、実は目的であったのか、意味の曖昧性は残りますしそれを語る文でもありません。*第三者の視点からは、彼は壁塗りをしていた、そして壁は赤く仕上がった、の事象のみが描写される表現です。=He painted the wall and anyhow it turned red.彼は壁にペンキを塗り、とにかくそれは赤くなった。*〜したらそうなっていた、ですね。*難しく言えば、<動詞によって示される出来事の完了によって生じる名詞の状態を示す>構文です。*なんと言う事は無い、要は<結果>です。即ち、He painted the wall and after some trial and error the wall turned red.彼は壁にペンキを塗ったが、試行錯誤している内に壁は赤くなった。(そうなってしまったとの偶発の結果、出来事の陳述)He painted the wall with the intention of making it red.彼は壁を赤くしようと最初から意図してペンキを塗った。(意図)のいずれなのかまでは何も語っていません。*文脈などから正しい解釈を行う必要が出て来ます。*更に無理遣り解釈すれば、以下の様にも解釈可能です。He painted the walls with a bright red face.彼は真っ赤な顔をして壁を塗った。(red は主語 he についての記述)*これから即座に分かりますが、<結果構文>なる用語は、確かに事象としての客観的な結果を表面的には意味するものの、それ以上の意味を持たず、意味内容に曖昧性を排除し得ないと言うことになるかと思います。*逆に言えば、文脈や文自体の意味合いから、偶然なのか、意図的即ち使役なのかのいずれかの意味を強める場合があり得るとの話です。*口語表現としては許容されるにしても、これでは学術論文などにはとても利用出来ません。*まぁ、単純で寸足らずなもの言いと言えましょう。*因みに、to paint the town red の表現で、(バーやクラブで)どんちゃん騒ぎをする、との idiom になります。*同様な結果の表現としてHe pounded the metal flat.彼はその金属を平らに叩いた。*これもHe pounded the metal and it turned into flat.なる意味の淡々とした描写に留まります。He tapped the metal, but after some trial and error it flattened out.彼はその金属を叩いたが、試行錯誤している内にそれは平らになった。或いはHe struck the metal with the intention of flattening it, and he did so successfully彼はその金属を平らにしようと意図してそれを叩いたが首尾良くそうできた。までは語りません。無理遣り解釈すれば、以下にもなり得ます。He struck that metal with a floppy posture.彼はペタンコの姿勢でその金属を叩いた。*the wall is red, the metal is flat が成立しますので、上で述べたようにSVOC 文型であると理解出来ます。*強力で明確な意図を持つ使役動詞 make の域にまではとても到達しない、弱腰、半端な使役風表現であると考える事も出来ます。*まぁ、一種出来損ないの、曖昧性を抱えた使役表現との理解です。*SVO + and as a result O turns into C. にさっと書き換えて、取り敢えず!逃げるのも手かと思います。*好きな動作動詞を用いてSVOC を作り、結果構文に仕上げるのも面白そうです。*英作課題でこれを使うと採点者側は、おいちょっと待てよとばかりに用例集 corpus (コーパス)を鵜の目鷹の目で探ったりで焦るでしょうね!It's an ill wind that blows nobody good. (俚諺)= An ill wind blows nobody good.= There is an ill wind that blows nobody good.誰にも為にならない悪い風が吹くこともある。→(ウラを返して)悪い風でも誰かの為になることがある。Even the worst wind can be good for someone.=風が吹けば桶屋が儲かる。*風が吹いた結果、nobody is good の状態になるとの一種の結果構文です。*風は自然現象であり、意図を持ちませんので、これは偶然の方の結果だと判断出来ますね。*即ち、<ある1つの不吉な風が吹いた結果、たまたま全員の具合が悪くなることもある>、を意味します。*文型としては動詞 blow を用いて SVOC の形を取りますが、こちらも使役動詞 make などの超劣化版と考えると分かり易いでしょう。結果構文の他の例-----------------------------------------*補語 C に形容詞を使う例He cooked the meat rare.彼は肉を焼いたがレアだった。*意図してレアに焼いたとも解釈出来ます。She rinsed the glass clean.彼女はグラスを洗ったが、グラスは綺麗になった。*意図してグラスが綺麗になる様に洗ったとも解釈出来ます。John licked his plate clean.ジョンは皿をきれいに舐めた。(ジョンは皿を舐めたが、その結果皿は綺麗になった。)Mary painted the fence blue.メアリーはフェンスを青く塗った。(メアリーは塀を塗ったが、その結果塀は青くなった。)The cold weather froze the lake solid.寒波が湖を凍らせた。(寒波が湖を冷やしたが、その結果湖は凍った。)*自然現象ですので意図は存在しない筈です。He folded the carton flat.彼はダンボールを平らに折りたたんだ。-----------------------------------------*受動態にも出来ます:His plate was licked clean.彼の皿は舐められて綺麗になった。The fence was painted blue by Mary.その塀はメアリーに塗られて青くなった。The well was drained dry.井戸の水は抜かれて涸れた。A line of cars are all painted black車は一列皆ペンキで真っ黒だぜ。-----------------------------------------*自動詞表現も取れます:The door swung open.ドアが揺れて、その結果開いた。*この場合は非態格動詞(=事象を表す自動詞)が使われます。The water froze solid.水が固く凍った。*非能格動詞の主語を使い結果構文化出来ますが、この時には再帰代名詞が必要になります。Gordon laughed himself helpless.ゴードンは自身を笑ったが、その結果気が抜けた。The girl screamed herself hoarse.その少女は叫んだが、その結果声が嗄れた。-----------------------------------------*補語Cに前置詞句も使う事が出来ます:Mary cut her child’s birthday cake into eight pieces.メアリーは子供の誕生日ケーキを8つに切り分けた。*ケーキを切ったら8つになった、のではなく、ここでは8つに切り分けるとの明確な意思の結果であると<常識的判断から>解釈出来ますね。*この様に、結果構文には、事象として淡々とそうなったのか、意図が有ったのか、の解釈の余地、曖昧性を残している表現であることが改めて分かります。-----------------------------------------*補語 C に名詞(句)を据えることも出来ます:She dyed her hair a bright pink.彼女は髪を鮮やかなピンク色に染めた。*但しこの文で不定冠詞 a を除去すればそのまま形容詞扱いになりますので、名詞(句)を堂々と取れると主張できる程の強さは持たないと言えそうです。-----------------------------------------cf.to 不定詞を結果の形容詞代わりに使うこともできると主張する者も居ます。https://justpublishingadvice.com/resultative-adjectives/このブログの例文に拠ると、We used a larger font to make reading easier.読みやすいようにフォントを大きくした。(大きなフォントを使い、その結果読むのを容易にさせた)She gathered enough courage to speak in public.彼女は人前で話すのに十分な勇気を振り絞った。(彼女は勇気を振り絞り、その結果人前で話した。)*しかし、結果構文が補語として動作性とは無縁の純形容詞や前置詞句を当てることから考えると、動作性を色濃く残す to 不定詞をそれに当てたものを結果構文として考えるのはとの考えは間違いでしょう。*これらは普通は目的用法の to 不定詞、或いは結果用法のto 不定詞として理解されるものです。*結果風に解釈可能ではあっても結果構文ではありません。 |
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2025年9月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第910回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文The grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文のweb 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011Tough 構文に類似するものにはどの様なものがあるのか? その4too...to 構文 2*下記の2つの否定表現はあまり利用されません。同じ意味のもっと分かりやすい表現を用いるのが普通です。not too...to do*not too...to do の表現で、<〜するには/出来ないほど〜な訳ではない>、<あまり〜ではない>の意味になります。=not very...to do 〜するにはあまり〜ではない、に簡易に言い換えられます。*Ain't Too Proud To Beg (オレを捨てないで呉れと)お前に願えないほどプライドがある訳じゃあ無い、のタイトルの楽曲は多いです。*too が悪いの意味のマイナス表現+否定の not →マイナスが打ち消し合って肯定の意味=ほどほど〜出来るAmericans are never too keen to leave their beloved country.アメリカ人は愛する国をあまり離れたがらない。=Americans are not very keen to leave the country they love.I wasn't too happy with what I'd written so far.私はこれまで書いたことにあまり満足していなかった。= I was not very happy with what I had written so far.He won't be too pleased to see you.彼はあなたに会ってもあまり喜ばないでしょう。~ He will not be very pleased to see you.none too...to doAnd she was none too anxious to hear about the show.そして、彼女はショーのことをあまり聞きたがらなかった。= And she did not want to hear much about the show. と平易に書けばそれで済む内容なのですが・・・。too...not to do*too...not to do = too...to not do の表現で、<〜しないにしては〜過ぎる>→<とても〜なので〜しない訳がない>*<too が悪いの意味のマイナス表現+否定の not> →<マイナスが打ち消し合ってゼロ化> → <肯定の意味=とても〜だから出来ない訳がない>或いは、<〜するほど、出来る程に〜とてもだ>= so...as to do, enough to do の意味になります。*こちらの方は、一部の<難関校>の入試に登場し、予備校講師らが得意気に解説を加えるとの毎度の定番(茶番?)ネタになりますね。*一般用法としては目に触れない妙な表現を出して悦に入る、との、本邦英語教育の病理を見る思いです。He's too kind to not lend me $100.彼は親切だから僕に100ドル貸して呉れない訳が無い。= He's so kind that there's no way he wouldn't lend me $100.= He's so kind as to lend me $100.=He's kind enough to lend me $100.彼はとても親切で、私に100ドルを貸してくれるぐらいだ。*英語の他の否定表現と同じく、その場で字面から解釈しようとしても混乱するだけです。*定型的な書き換えパターンを知った上でそれをサッと機械的に実行するのが良い対処方です。*Cambridge, Collins, Longman にはこの用例の掲載はありません。一般的では無い表現とのことでしょう。最初からHe is very kind to show me the way.He is kind enough to show me the way.He is so kind as to show me the way.などと<素直>に、平易に表現するのが普通なのですが。*二重否定的なヒネた意味合いの表現は混乱を招きがちになります。*文法的に正しくは、to not show ではなく、not to show とすべきですが、これに関しては下で説明します。Too Good to Not Believe Guitar Tutorial素晴らしすぎて信じざるを得ない/信じるしか無いギター・チュートリアル= So Good as toBelieve Guitar Tutorial= Good enogh to Believe Guitar Tutorial良くて信じたくなる様なギター・チュートリアル*too...not to/ to not の表現は、too good to not believe の様な定型句(多くは宗教絡み)ばかり目にします。*一般的な表現としては使われないと言う事なのでしょう。cf. 分離不定詞とは*to 不定詞を分割して間に語 (副詞相当語) を挟むのは文法違反 (分離不定詞 split infinitive と言う) とされますが、実際には上の様に、not to do とすべきを to not do などと当たり前に表現されます。*直接に副詞が該当の動詞に掛かる事を明示出来るので文の意味が鮮明化する利点なども確実にあります。*formal な文でもこの意図の為に用いられることは普通に見ますね。*文法書に記述の英語文法が徐々に崩れ、口語での利用→やがては書き言葉での正書法となる、との、いずれの言語にも観察される現象の1つかと思います。to 不定詞の他動詞の後ろに代名詞を置くのは正しいのか?*tough 構文、too..to 構文、enough...to 構文に於いて、to 不定詞の動詞が主語を目的語とする文で、to 不定詞の他動詞の後ろに代名詞を置いて良いのかの問題、を考察します。*下記論文に詳述されています:Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*tough 構文 This book must take a long time to read. に対して、This book must take a long time to read it. と、to 不定詞の他動詞の後ろに代名詞を添える用法についてですが、気分的に添えたくなるのは理解出来るものの、一種の冗語とも言え、文法的には間違いです。*しかしこの表現に違和感を覚えない native は少なくはありませんし、実際、後ろに代名詞を添える英文は良く目にもします。*日本語で、<この本は読むのに時間が掛かる>、を、<この本はそれを読むのに時間が掛かる>、と念押しするのにも似ていて、ダメ押し表現とも言えますね。*まぁ、頭の中で、後ろが別の文構造(SVからなる構造)として分離している、との扱いの結果でしょう。(This book must take a long time この本は時間が掛かるに違い無い) + (a long time to read it それを読むのに長い時間が).*一文が長く、後ろの to 不定詞以下の纏まりが、文の<前半>と距離的、時間的に離れる場合は、その to 不定詞の他動詞の後ろに代名詞を置く気持はまだ理解出来ますし、それが一般化すれば、<間違いでは無い>、いや<むしろそれが正しい>などと辞書や文法書も掲載し始めることになります。*時間表現 <in those days あの頃は、当時は>は正しいですが、一方、in these day と本来有るべき in を付けると今では8割方の native は不自然と感じるそうです。それと全く同じです。*文法を超越した慣用化の例ですね。それが新たな文法になる訳ですし、その言語現象を説明せんと新理論を振り出す学者も登場する、との繰り返される図式かと思います。*for...to... の場合* 然るに、Lasnik & Fiengo (1974) の上記論文では、以下の2文いずれも文法的に成立するとされています。◯ This problem is too abstract for Bill to solve.◯ This problem is too abstract for Bill to solve it.最初の文は、For Bill, this problem is too abstract to solve. 或いはThis problem is too abstract to solve, for Bill.<ビルにとって、この問題は抽象的すぎて解けない。>、に等しく、これに、it を添えて×For Bill, this problem is too abstract to solve it.×This problem is too abstract to solve it, for Bill.とすると不文になります。*後者の文の、for Bill to solve it に於いては、Bill は for-to 補語文の構文上の主語となり、for Bill が分離して移動することはあり得なません。つまり、書き換えが出来ないことになります。<ビルがそれを解決するには、その問題は抽象的過ぎる。>が和訳になります。*即ち、for...to の中で目的語が有る場合は、それ自体の中に主語(統語的主語)が存在する(=独立した文を形成する)が、一方、目的語が削除されると主語を失うとの解釈になります。*tough 構文では文の主語が to不定詞の目的語となる為、後ろに代名詞を添える事は必ず不文になりますが、too...to.構文、enough...to. 構文では、for...to..とする限りに於いては、後ろに代名詞を添える、添えないのいずれかが取り得る、と言う事ですね。*to 不定詞以下を、別仕立てにして、and (その他の等位接続詞)+動詞、或いは、if 節や when 節に脳内変換する意識の表れにも近いのではと考えますが、実際、塾長も長々と続く文については、to 不定詞以下を別文に仕立てて解釈する遣り方を生徒さんには頻繁に指導しています(to不定詞以下別文化法)。*これは for を伴わずしても、 to不定詞自体に主語の意味合い(統語的主語)を含んでいて独立可能である、との考え方に通じます。*まぁ、to不定詞は単なる添え物ではないとの扱いです。This book must take a long time when reading it. と、主節+従節(節ゆえ各々が完全文になる)に分ければ、正しい英文になりますし、逆にこの文にて it が無いと不文になります。*上でも触れましたが*tough 構文、enough...to 構文、too...to 構文では、虚辞 there を for の次に従えて意味上の主語として扱う事は一部の文法家からは不文とされます。*しかし実際には、時にその様な文を見ますし、また整序問題を扱う学習参考書などに掲載されることもあります。(尤も、塾長は矢張り感心出来ません)*因みに、It is....for there to be ...の構文は問題なく成立します。to 不定詞の自動詞の後ろの前置詞を省くのは正しいのか?The room was too noisy for her to study.部屋がうるさくて彼女は勉強どころではなかった。*主語の the room は to study in the room の関係に有り、正しくはThe room was too noisy for her to study in.と有るべきと考えますが、in なしで正しいとされます。*これは youtube に native が公開している too to 表現の解説サイトに掲載の文例です。*これは代名詞を添える添えないの問題とは異なり、前置詞を添える添えないの問題になります。*in が無くとも <その場所では勉強が出来ない>の意味である事は正しく通じます。*明らかに不文となる it 付けが正しいものとして通用することと同様、前置詞の有無の問題からも、一般の native 自体が結構いい加減な表現の上に英語を話していると言う実態が見て取れます。*予備校講師らが毎度したり顔で用例を出す、<This pond is dangerous to swim in. の例文で最後に in を入れないと間違いだ>、との指摘ですが、これも in 無しで実際には間違いとも思われないでしょう。*但し、教養を疑われるケースもあり得るでしょう。*日本語の受け身表現で、<ら抜き言葉>が頻用され、塾長自らも普段は頻用しますが、よそ行きの場では用いません。*本当はマズいと知っていて破格を使うのがまだしも宜しいようで・・・。-------------------------------注意:*tough 構文、また、 enough...to 構文、too...to 構文では、S+V+IO+DO 文型の間接目的語、即ち IO を抜き出して主語に据える事が出来ません。*この現象は It is...that の強調構文に於いて、IO を強調することが出来ないのと似ていますね。*まぁ、間接目的語の前方への抜き出しは一般的に避けられると考えて下さい。◯ John was tough to give criticism to.ジョンは批判を浴びせるにはタフだった◯ John was tough enough to give criticism to.ジョンは批判するのに十分タフだった。◯ John was too tough to give criticism to.ジョンは批判するには手ごわすぎた。以下は不文です。× John was tough to give [him 元はここに] criticism.× John was tough enough to give [him 元はここに] criticism.× John was too tough to give [him 元はここに] criticism*しかし実際のところは、正文の最後の前置詞を省略した形として、上記不文とされる構文に一致する例も多いです。*こうなると、上記不文の例文が間違っていると強く主張する事も出来ないわけです。 |
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2025年9月5日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第9回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/toohttps://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/tooThe grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文のweb 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011Tough 構文に類似するものにはどの様なものがあるのか? その3too...to 構文 1*この too は過剰すぎて不快だ、困る、の意味を持ちます。= more than what is needed/ wanted*幅広く各種の形容詞、副詞が利用出来ます。*基本的に否定的な悪い意味で使われる語です。*従って、 That movie was too good. この映画はすごくいい、などに用いるのは間違いになります。*この様な場合は、too の代わりに、まずは very, so, really などを使って下さい。cf.only too これは casual 表現としてポジティブな意味合いで使い、とても、の意味になります。*ただもう〜過ぎる、過剰だ、の意味は有りません。"Would you like to make a donation?" "I'd be only too pleased."「寄付をなさいますか?」 「ええ、もう喜んで。」*同様に、too = very, completely の意味で使う場合もあります。*否定文で利用される例が多いです。He wasn't too pleased/happy when I told him about the mistake.私がその間違いを話したとき、彼はあまり喜ばなかった。My mother hasn't been too well recently.母は最近あまり元気がない。Thank you, you're too kind.ご親切にありがとう。I like detective stories and romances - nothing too intellectual.私は探偵小説やロマンスが好きです。あまり知的ではないものです。He has suffered a mild heart attack - nothing too serious.彼は軽い心臓発作を起こしました。全然深刻ではありません。Don't come too near me - you might catch my cold.あまり私に近づかないでください-私の風邪がうつるかもしれませんよ。If we all work together, it shouldn't take too long.みんなで力を合わせれば、そんなに時間はかからないはずだ。He prefers plain food - nothing too fancy.彼は地味な食べ物を好む。あまり派手ではないものが。too...to do*<〜するには〜過ぎる>、これが転じて <〜過ぎて〜出来ない> と to 不定詞部分を否定に訳出する事も可能です。*受験参考書定番の書き換え方ですが、too...to を原因とその帰結の文 so...that ..cannot で書き換えることも出来ます。I'm too hungry to concentrate!腹が減っていて集中出来ないよ!→ I'm so hungry (that) I can't concentrate!*to 不定詞の目的語が主語に相当する too...to 構文*例えば以下の様な例文も普通に見られます。Lee's mattress is too thin to sleep on.リーのマットレスは薄すぎて寝心地が悪い。cf.Lee's mattress is thin enough to sleep on.リーのマットレスは薄くて寝心地が良い。*一見 tough 構文と似た様な構造を取りますが、前述の pretty 構文と同様に、仮主語 it を文頭に立てる構文、或いはto 不定詞を文頭に持って来る構文への書き換えが出来ません。以下の様には書き換え出来ず、これで判別可能です。×It is too thin to sleep on Lee's mattress.×To sleep on Lee's mattress is too thin.*<マットレスが薄過ぎるが>のであって、<その上に寝ることが薄過ぎる>のではありません。*to 不定詞が、<その動作を行うならば、行う時には、〜する分には>、の意味の副詞として機能していることが分かります。Lee's mattress is too thin when/if slept on.Lee's mattress is too thin when/if you sleep on it.*原因とその帰結を強調する文に仕立てたいなら、Lee's mattress is so thin that I can't sleep on it.と書き換える事も出来ます。*物体の性状を表す形容詞 thinに対しては以下の様な文−tough 構文は作れません。ご注意下さい。×Lee's mattress is thin to sleep on.* too 或いは enough を添える必要があります。The box was too heavy for me to lift.その箱は私には重すぎて持ち上げられなかった。*to 不定詞の動詞が主語を目的語としない too...to 構文*以下の様な too ...to...の用例も頻出します。I'm too hungry to concentrate!腹が減っていて集中出来ないよ!Anyone (who is) too young to realize that is too young to lead our country.それを理解できないほど若すぎる人は、国を率いるには若すぎる。I have too many things to do.私にはやることが多すぎる。(正確にはここのto do は形容詞用法です)He's too old to drive.彼はトシでよぼよぼだから運転は無理だよ。The temperature was well below zero - much too cold to spend more than a few minutes on deck.気温は氷点のずっと下で、デッキで数分過ごすには寒すぎる。It's too early to go to dinner now.今夕食に行くには早すぎる。I was too tired to get up off the couch.とても疲れていてソファーから立ち上がるのも億劫だった。She's still too upset to talk about it.彼女はまだ動揺していて話せないんだ。Tamar's description, to him and Elizabeth, had been too vivid for him ever to confuse it.彼とエリザベスにとって、タマルの説明はあまりに鮮明で、彼がそれを混同することは全然なかった。(否定の意味のto 不定詞になるので、ever を never と訳します)Einstein is too well-known to travel unnoticed.アインシュタインはあまりにも有名なので、気付かれずに旅をすることはない。→アインシュタインはあまりにも有名だから、旅に出れば必ず気付かれてしまう。Mary is too clever for there to be any disagreement concerning her intelligence.メアリーはとても賢いので、彼女の知性について異論があるはずはない。*上の注意にて触れましたが、虚辞の there を for を用いて to 不定詞の主語にするのは不文だとの指摘もあります。その場合は以下の様に書き換えます。Mary is too clever for any disagreement concerning her intelligence to occur.He's too kind to not lend me $100.僕に100ドル貸してくれるなんて彼は親切すぎる。(not to do = to not do で肯定の意味になります)= He's so kind as to lend me $100.=He's kind enough to lend me $100.彼はとても親切で、私に100ドルを貸してくれる。too good to be true/to lastinformalso good that you cannot believe it is real, or you expect something bad to happen現実のこととは思えないほど良い、あり得ないほど素晴らしい、信じられないぐらい良い、良すぎて怖いぐらい、良くて嘘みたいTheir relationship had always seemed too good to be true.二人の関係はいつもあり得ないほど順調に思えた。much/far tooあまりにも*単なる too の強調表現です。Here were depths that Gordon could not easily contend with, and he was much too honest to minimize them.ここにはゴードンが容易に対処できない深さがあり、彼はそれを最小限に抑えるにはあまりに正直だった。Walking: There are far too many paths for anyone to explore them in one holiday.歩くこと: 一度の休暇で探検するには、あまりにも多くの道がある。Of course, at twenty-five, I was far too old to be married!もちろん、25歳の私は結婚するには年を取りすぎていた。But Kyle was much too smart to let it be easy!しかし、カイルはそれを簡単に許すにはあまりに賢すぎた! |
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2025年9月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第8回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/enoughThe grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文の web 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011Tough 構文に類似するものにはどの様なものがあるのか? その2enough ...to 構文2*一般的な enough...to 構文 (つづき)*以下の様な enough ...to...の用例は寧ろ一般的であり頻用されます。*enough が副詞、形容詞、名詞として利用されるにしても、いずれも、〜するには十分だ、不足は無い、の表現になります。*to 不定詞の意味上の主語が文の主語に一致する時は何も加えません−この場合は主語とto不定詞がSV関係になります−が、異なる時には、for someoneto do とします。*否定文 not enough to do で、〜するには十分ではない、不足する、〜するほどに〜ではない、の意味になりますが、否定形も多用されます。2.形容詞としての enoughenough + 名詞 A+ to do BBするには十分のAThe main challenge is that there are so few resources to go around now, and there is not enough food to do the work effectively.主な課題は、今はリソースがあまりにも少なく、仕事を効果的にこなすための十分な食料がないことだ。cf. これを、There is not food enough to do the work effectively. とは出来ません。Delegation of authority to organisations outside the government bureaucracy will only be done when there is enough assurance that it will notcreate problems.政府官僚機構以外の組織への権限委譲は、それが問題を引き起こさないという十分な保証がある場合にのみ行われる。We did not recruit enough male and female general practitioners to explore confidently this possibility.私たちは、この可能性を確信をもって探るのに十分な男女の開業医を採用しなかった。The elaborate procedures of a written inquisition took a long time and there were never enough judges to handle the case load.書面による審問の入念な手続きには長い時間がかかり、裁判員の数は決して十分ではなかった。Selling this house in 1996 allowed them to release enough equity to buy their pensioners' flat outright.1996年にこの家を売却したことで、年金生活者のアパートを購入するのに十分なエクイティが手に入った。Majority governments by definition have enough support in the parliament to implement their financial policies, whether they are cuts orincreases in spending or taxes.定義上、多数派政府は、支出や税金の削減であろうと増加であろうと、財政政策を実行するのに十分な議会の支持を得ている。Further more, the issue of whether an institutional setting can provide rich enough input data for learners to also develop a 'sociopragmaticcompetence' is addressed.さらに、学習者が「社会語用論的能力」を開発するために、制度的な設定が十分豊富な入力データを提供できるかどうかという問題にも取り組んでいる。She graduated with high enough marks to apply for university.彼女は大学を受験するのには十分な成績で卒業した。= She graduated with sufficient grades to apply for university.= She graduated with sufficient grades if she applied for university.He had just enough time to make his train.彼は列車に間に合うだけの時間があった。There aren't enough tents to shelter them all.全員を避難させるにはテントが足りない。= There are not enough tents for sheltering them all.= There are not enough tents if we shelter them all.A is enough to do BAはBするのに十分だThe nucleotide sequence variation among them was enough to discriminate parasite species ; 245 nucleotide positions were polymorphic and190 positions were parsimony informative.これらの塩基配列の変異は寄生虫の種を識別するのに十分であった。245の塩基位置が多型であり、190の塩基位置がパーシモン情報に基づくものであった。However, this is not enough to plot a heat transfer curve in the new case.しかし、これは新しいケースで熱伝達曲線を描くには不十分である。In practice, it turns out that, fortunately, a limited number of points k is generally enough to obtain accurate results.実際には、幸いなことに、正確な結果を得るためには、一般に限られた点数kで十分であることが判明した。3.名詞としての enough + to do〜するには十分なもの、ことI have enough to do without taking on any more work.これ以上仕事を増やさなくても、やることは十分ある。There are families who don't even have enough to eat.食べるものにも事欠く家庭もある。Nevertheless, some of these female-headed households produced food, at least enough to meet their needs.とはいえ、こうした女性世帯主世帯の中には、少なくとも必要なだけの食料を生産しているところもあった。*enough を使う その他の表見good enough toformalWould you be good enough to take my suitcase upstairs for me?スーツケースを2階まで運んでくれる?---------------------------------------------------not enough...to do*否定語 not の及ぶ範囲で意味合いが変わります。*文脈に左右される曖昧性を排除出来ない構文だと言う事になりますね。1. not (enough...to do) の表現で、<(〜するには〜が十分だ)とは言えない>、転じて<〜するほど〜ではない>の意味にもなります。= not sufficient to do*この意味合いの場合が殆どです。It's warm enough to go for a swim.泳ぎに行くには十分暖かい。→否定It's not warm enough to go for a swim.泳ぎに行くには十分には暖かくはない(=寒すぎる)。=It's too cold to go for a swim.I'm strong enough to lift those boxes.私にはあの箱を持ち上げられるほどの力があります。→否定にI'm not strong enough to lift those boxes.私にはあの箱を持ち上げられるほどの力はありません。= I'm not (strong enough to lift those boxes).私は<あの箱を持ち上げられるに足るほど強い>と言う訳ではありません。= I'm not so strong as to lift those boxes.= I'm too weak to lift those boxes.He didn't allow us enough time to finish the test.彼はテストを終えるのに十分な時間を与えてくれなかった。I haven't done anything bad enough to be included in the main text.本文に載せるほど悪いことはしていない。Her concluding appeals to, and for, indigenous knowledge are not consistent or forceful enough to be entirely convincing either.彼女の結論としての土着の知識への訴えも、一貫性がなく、説得力に欠ける。Finally, there are cases in which none of the three factors was powerful enough to explain the decision to privatise.最後に、3つの要因のどれもが、民営化の決定を説明するのに十分な力を持っていないケースもある。However, none of these studies had enough data for individual infrequent verbs to assess their actual frequency and zero rate.しかし、これらの研究のどれもが、個々の頻度の低い動詞について、実際の頻度やゼロ率を評価するのに十分なデータを持っていなかった。Put differently: violation of a constraint from below the cut-off is not severe enough to eliminate a candidate from being an output.別の言い方をすれば、カットオフ以下からの制約違反は、候補を出力から排除するほど厳しくないということである。The structure of the performance lets us spend time with the characters, but never for long enough to figure them out.演技の構成上、私たちは登場人物と一緒に時間を過ごすことができるが、彼らを理解するのに十分な時間はない。We witness actions, confessions, and shards of a love story, but never long enough for them to coalesce into a grand narrative.私たちは行動、告白、ラブストーリーの断片を目撃するが、それらが壮大な物語にまとまるのに十分な時間はない。We're not doing enough to protect the environment from pollution.私たちは環境を汚染から守るために十分なことをしていない。2. (not enough...) to do の表現で、<(十分〜ではないので)〜する>、転じて<(そこそこ〜なので)〜する>の意味になります。He is not obtuse enough to know how she feels.彼は十分に鈍感と言う訳では無く(=そこそこ鈍感であり)、彼女の気持ちが分かる。→彼は彼女の気持ちが分からぬ迄に鈍感過ぎると言う訳ではない。(少しは分かる)これは、字義通りには、<not obtuse enough 100%の鈍感ではないので>、の意味になります。He is (not obtuse enough) to know how she feels.= He is not 100% obtuse and somewhat understands her feelings.彼は100%鈍感というわけではなく、彼女の気持ちを多少は理解している。(最初からこの様に明確に、平たく記述すべきですね)---------------------------------------------------enough...not to do〜しないほど(十分に)〜だ、の文字通りの事象の程度を表す表現です。*慌てずに意味を捉えて下さい!*原因と結果の構文と考え、とても〜なので〜しない、と、to 不定詞の結果用法として和訳すると分かり易いでしょう。*so...that ..not に書き換え可能です。He is obtuse enough not to know how she feels.彼は彼女の気持ちがわからないほど(十分に)鈍感だ。→彼は(十分に)鈍感だから、彼女の気持ちがわからないのだ。=He is so obtuse that he has no idea how she feels.彼はとても鈍感だから、彼女の気持ちがわからないのだ。= He is too obtuse to have any idea how she feels.彼は鈍感過ぎて、彼女の気持ちがわからないのだ。= He is so obtuse as not to know how she feels.彼は彼女の気持ちがわからないほど鈍感なのだ。*これらは皆似た様な表現ですが、パッと書き換え出来る様にしておいて下さい。cannot ...enough= cannot...too〜しすぎることはない*詳細は、以下をご参照下さい:否定を表す表現5 cannot...too neverhttps://www.kensvetblog.net/column/202412/20241201/I can't praise you enough.君のことはとても誉めきれないぐらいだ。 |
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2025年8月25日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第7回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/enoughThe grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文の web 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011Tough 構文に類似するものにはどの様なものがあるのか? その2enough ...to 構文1*enough とは、基本的に必要な分だけ丁度良くある、の意味です。= the right/ appropriate amount*肯定的な良い意味で使われる語です。*この意味で too...が否定的な意味合いを持つのとは真逆です。*幅広く各種の形容詞、副詞を修飾可能です。*必要分を越えて余る、の意味は持ちませんのでご注意下さい。*但し、口語、casual 表現で、as much as, more than is wanted: 必要以上だ、十二分だ、もう沢山だ、御免被る、の意味合いで頻用もされます。*この場合は、<丁度良い>の意味を越えて、不快の域に達していることを意味します。I've got enough work to do at the moment, without being given any more.今のところ、これ以上仕事を増やさなくても、十二分にやることがある。That's enough! I won't tolerate any more of this behaviour!もうたくさんだ!これ以上の振る舞いは許さない!Enough is enough! もう沢山よ!我慢の限界だわ、の用例も良く耳にします。*受験参考書定番の書き換え方ですが、enough...to do を so...that で書き換える事も可能です。He is kind enough to help others.彼は他人を助けることができるほど優しい。→He is so kind that he helps others.彼はとても親切で、他人を助けることができる。(ニュアンスは幾らか変わります)*以下、この際!ですから enough を利用した各種構文を一通り見て行きましょう!*自由自在に使える様に訓練して下さい。-------------------------------*to 不定詞の目的語が主語に相当する enough...to 構文*to 不定詞の副詞的性格 (もし〜の場合には、〜することに対しては) が強く、一見 tough 構文と似た様な構造を取ります。*しかし、 pretty 構文、 too...to 構文 (次回以降に扱う) の例と同様に、仮主語 it を文頭に立てる構文、或いは to 不定詞を文頭に持って来る構文への書き換えが出来ません。The football is soft enough to kick.そのサッカーボールは蹴る分には丁度良い柔らかさだ。= The football is soft enough when/if kicked.= The football is soft enough when/if you kick it..X To kick the football is soft enough.X It is soft enough to kick the football.None of the lakes was big enough to land a plane on.どの湖も飛行機を着陸させるのに十分な大きさではなかった。*物体の性状を表す形容詞 softに対しては以下の様な文−tough 構文は作れません。ご注意下さい。×The football is soft to kick.* too 或いは enough を添えて書き直す必要があります。-------------------------------*上の構文が enough 利用の構文の中で特殊構文扱いされるものですが、これ以降に扱うものは、<只の!>構文になります。*to 不定詞を仮主語に取る It is enough to do 構文Moreover, it would not be enough to simply investigate the relationship between constipation and quality of life.さらに言うと、便秘とQOLの関係を調べるだけでは十分ではない。More could be said, but it is enough here to have mentioned the matter.もっと多くのことが言えるが、ここではこの問題に言及しただけで十分である。In a nonlinear environment, it would be enough to have locally increasing returns like setup costs.非線形環境では、セットアップコストのように局所的に増加するリターンがあれば十分である。Is it good enough because in a complete system semantics and domain knowledge will compensate for parsing problems?完全なシステムでは、意味論とドメイン知識が構文解析の問題を補うからそれで十分なのだろうか?Is it good enough because only a small amount of work on a specific domain would bring the performance up into the high 90%?特定のドメインにほんの少し手を加えるだけで、パフォーマンスが90%台後半になるのだから、それで十分なのだろうか?Obviously, it is not enough to designate the direction and distance to the destination.目的地までの方向と距離を指定するだけでは不十分なのは明らかだ。However, is that enough to say that they were experiencing the same phases at the same time?しかし、同時に同じ局面を経験していたというだけで十分なのだろうか?*一般的な enough...to 構文*以下の様な enough ...to...の用例が寧ろ一般的であり頻用されます。*enough が副詞、形容詞、名詞として利用されるにしても、いずれも、〜するには十分だ、不足は無い、の表現になります。*to 不定詞の意味上の主語が文の主語に一致する時は何も加えません−この場合は主語とto不定詞が SV関係になります−が、異なる時には、for someoneto do とします。*否定文 not enough to do で、〜するには十分ではない、不足する、〜するほどに〜ではない、の意味になります。*否定形も多用されます。1.副詞としての enough形容詞 + enough + to do〜するには十分に〜だbe + 形容詞 + enough + to doYou're good enough to start a English conversation.あなたには英会話を始めるのに十分な力があります。Will the rope be strong enough to hold my weight?ロープは私の体重を支えるのに十分な強度があるのだろうか?I was old enough to work and earn money.私は働いてお金を稼ぐことができる年齢だった。= I had reached the age when I could work and earn my own money.She told me it was brand new and I was stupid enough to believe her.彼女はそれが新品だと言った。そして私は愚かにも彼女を信じてしまった。He was also kind enough to summarise the areas that the construction of the iron tower might help clarify.彼はまた、鉄塔の建設が解明するのに役立ちそうな部分を親切にもまとめてくれた。The corresponding corpus should include most of the words from the lexicon and be large enough to obtain reliable estimates of word-frequency distribution.対応するコーパスは、語彙のほとんどの単語を含み、単語頻度分布の信頼できる推定値を得るのに十分な大きさでなければならない。The same logic must apply to parties if their internal discipline is tight enough for them to be regarded as unitary actors.もし政党の内部規律が、党員達が一枚岩の行為者と見なせるほど厳密であれば、同じ理屈が政党(自体)にも適用されるに違いない。Fifteen droughts were severe enough to have caused famine, and 11 of them, or 87%, followed large eruptions within two years.飢饉を引き起こすほど深刻な干ばつは15回あり、そのうちの11回(87%)は2年以内の大噴火に続いている。However, the past two decades have brought a change to the highlands that has been strong enough to shake that balance.しかし、過去20年間で、そのバランスを揺るがすほどの強い変化が高地にもたらされた。On every occasion, then, speakers should choose expressions that are specific enough for their addressees to understand the intended reference.どのような場合でも、話し手は、相手が意図する言及を理解するのに十分具体的な表現を選ぶべきである。Client organisations are large enough to have substantial power resources and their members' interests are specific enough for their priorities to be clear.顧客組織は十分な規模の組織であるため、実質的な経営資源を有しており、また、そのメンバーの関心は十分具体的であるため、優先順位が明確である。註:Mary is dishonest enough for there to be an investigation of her activities.メアリーは、彼女の活動を調査するのに足るほどに不正直だ。→メアリーは嘘つきだから、彼女の活動を調査するのももっともだ。*文字通り読み下していけば意味は分かりますが、ちょっと違和感を覚える文ですね。*虚辞の there を for を用いて to 不定詞の意味上の主語にするのは不文だとの指摘も実際あります。その場合は以下の様に書き換えます。Mary is dishonest enough for an investigation of her activities to take place.Mary is so dishonest that an investigation of her activities should take place.Mary is so dishonest that there should be an investigation of her activities.名詞 + 形容詞 + enough + to do〜するには十分〜の= 名詞 + which is/are 形容詞 + enough + to do*形容詞の後ろに enough to do が続く語順に注意して下さい。Nevertheless, it had facilities extensive enough to support a sizeable royal entourage.とはいえ、それは王室の側近をサポートするのに十分な広さの施設を持っていた。They consist of hardware and software systems powerful enough to create realtime effects with no appreciable time delay.これらのシステムは、時間的な遅れを感じることなく、リアルタイムで効果を生み出すのに十分強力なハードウェアとソフトウェアで構成されている。動詞 + enough*十分に〜するWe hadn't trained enough and lost the game.= We hadn't trained a sufficient amont so as a consequence, we lost the game.十分なトレーニングを積んでいなかったので、結果として試合に負けた。He has not studied enough to pass his target university entrance examinations.彼は目標とする大学合入試をパスするのに十分な勉強をして来ていない。動詞 + 副詞 + enoughThe carrots were cut small enough to allow them to be easily cooked.ニンジンは火が通りやすいように十分に小さくカットされた。*ここの small は、 into small pieces 小さく、の意味の副詞です。We left home early enough to not be late for the rendezvous.待ち合わせの時間に遅刻しないように、我々は十分に早く家を出た。The time step was chosen small enough to ensure local stability of the method.時間ステップは手法の局所的安定性を確保するのに十分小さく選ばれた。= The time step was chosen to be small enough to ensure the local stability of the method.時間ステップは、手法の局所的な安定性を確保するのに十分な小さくあるべく選ばれた。(つづく) |
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2025年8月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第6回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文The grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文のweb 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011https://www.glossa-journal.org/article/id/6478/French missing object constructionsGabrielle Aguila-Multner, Berthold Crysmann, GLLOSA Issue: 2022 Volume 7DOI: https://doi.org/10.16995/glossa.6478Tough 構文 2Tough 構文は他言語でも見られるのか神戸学院大学人文学の服部亮祐氏は、英語類似の tough 構文に相当すものが、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、フランス語にてアンケートの結果確認されたとし、これらの言語では、他動詞の目的語に格を付与せず、これが為、それが今度は主語の位置に据えることを可能にしていると考察しています。https://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 人間文化 H & S 50 号 2022. 1確かに、It is difficult to please him. の文では目的格(与格と言う)の him が、He is difficult to please. と、談話主題を示す主格に<さりげなく>移動していますね。元の him には本来的に格が与えられていなかったらこそ、この様な構文が許されるのだと、との見解です。*まぁ、1つの意味に於いて、各名詞の格変化のタガが緩くなったが故の tough 構文の成立とも言えそうです。フランス語Il est difficile de les satisfaire.彼らは喜ばすのが難しい。= It is difficult to satisfy them,Ils sont difficiles a satisfaire. (ここでは表示出来ませんが、a の上には accent grave アクサン・グラーヴが付きます)= They are difficult to satisfy.ここでも目的格の les (=them) が主格主語の ils (=they) に置き換わって tough 構文を形成しているのがわかります。https://www.glossa-journal.org/article/id/6478/French missing object constructions, Gabrielle Aguila-Multner, Berthold Crysmannこの論文は、仏語の目的語消失構文 French missing object constructions の内の1つとして tough construction を扱っていますが、以下の形容詞が tough 構文に利用されるとしています:absurde, admirable, adorable, affreux, agreable, aise, allechant, amer, amusant, appetissant, apre, ardu, assommant, atroce, balaise, banal, beau, bizarre, bon, bouleversant, benefique, bete, capital, cauchemardesque, chaud, cher, chiant, chouette, chronophage, comique, commode, complexe, complique, con, confortable, contraignant, cool, coriace, coton, couteux, crucial, cruel, cuisant, curieux, dangereux, difficile, different, dingue, distrayant, douloureux, doux, drole, dur, degoutant, degueulasse, delicat, delicieux, delirant, dement, deplaisant, derangeant, deroutant, desagreable, desirable, desolant, economique, effrayant, effroyable, elementaire, embarrassant, empoisonnant, encombrant, enervant, ennuyant,ennuyeux, enorme, epouvantable, eprouvant, epuisant, ereintant, essentiel, etonnant, etrange, evident, excellent, extraordinaire, fabuleux, facile,fascinant, fastidieux, fastoche, fatigant, flou, fondamental, formidable, fou, fragile, fun, gonflant, grand, grandiose, gratuit, grave, grisant, gros,genial, genant, hallucinant, hasardeux, haut, hideux, hilarant, honteux, horrible, hyperfacile, idiot, ideal, illicite, immediat, important, impossible,impressionnant, impropre, imperatif, inaudible, inconfortable, incroyable, indispensable, infect, infernal, infame, ininteressant, injuste, insoutenable,insupportable, intelligent, interminable, intolerable, intuitif, interessant, inutile, irritant, joli, jouissif, joyeux, judicieux, laborieux, laid, lassant, lent,long, louable, lourd, lourdingue, leger, magique, magnifique, majestueux, malaise, malcommode, malheureux, malin, marrant, mauvais, meilleur,merveilleux, mignon, moche, moindre, monstrueux, mortel, mechant, naze, net, nul, necessaire, obligatoire, obscene, palpitant, paradoxal,passionnant, pathetique, perplexe, personnel, pertinent, petit, physique, pitoyable, plaisant, polluant, possible, poussif, pratique, primordial,prioritaire, precieux, preferable, premature, penard, penible, perilleux, raide, raisonnable, rapide, rare, ravissant, redoutable, reposant, ridicules,rigolo, risque, rude, realiste, rejouissant, sain, salubre, savoureux, siderant, simple, simplissime, somptueux, souple, spectaculaire, splendide,stressant, subjugant, sublime, suffisant, super, superbe, surprenant, sympa, sympathique, sympatoche, tendre, terrible, terrifiant, toxique, triste,trivial, troublant, ultra-facile, ultra-simple, ultrarapide, urgent, utile, vexant, vital, vulgaire*結構な数がありますね。*英語と似た様な語が利用されていることが分かります。Tough 構文に類似するものにはどの様なものがあるのか? その1*tough 構文に一見似ているが異なるものには、 pretty 構文や too...to 構文や enough...to 構文があります。*毒を喰らわばではありませんが、この際!ですから順に検討して行きましょう*下記論文に詳述されています:Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1pretty 構文These pictures are pretty to look at.これらの写真は見るには綺麗だ。*一見 tough 構文と同じ構造を取りますが、以下の様には書き換え出来ず、これで容易に判別可能です。×It is pretty to look at these pictures.×To look at these pictures is pretty.*<これらの写真は見るには綺麗>なのであって、<これらの写真を見ることが綺麗>なのではありません。*to 不定詞が、<その動作を行うならば、行う時には、〜する分には>、の意味の副詞として機能していることが分かります。These pictures are pretty when/if looked at.These pictures are pretty when/if you look at them.*写真は目で見るものゆえ、後ろの to look at は冗語であって意味を持たないと考える者が居て当然です。*しかし<綺麗な見た目でいいね。>の他に、例えば下記の様な含意を持つ場合もあり得ます。*この様なウラの暗い感情を伴い得るのはひょっとすると英米人の性格特性とも言えるのかも知れません・・・。These pictures are pretty at first glance. However, on closer inspection, they are not so.これらの写真は一見すると綺麗だ。しかし良く見るとそうでもない。(ヒネた感情)同様に、That food is delicious to eat.あの食べ物は食べるとおいしい。(<素直な>気持)→That food looks tasteless, but when you try it, it tastes good.あの食べ物は如何にも不味そうだが食べてみるとおいしい。(ヒネた感情)この様に深掘り出来なくもありません。*意味するところにオモテとウラの二重性、曖昧性を持つ可能性がありますね。他の例文としてはThat flower is fragrant to smell.その花は香りがよい。That music is melodious to listen to.あの音楽は聴くとメロディアスだ。This room is a pigsty to behold.この部屋は見るに耐えない豚小屋だ。cf. behold = to seeNureyev is a marvel to watch.ヌレエフは見ていて驚嘆する。*お気づきかと思いますが、以上全て5感についての記述になります。それ以外の例としては、This problem is a hornets' nest to deal with.この問題に手を出すと面倒な事になる。cf. a hornets' nest = something which causes a lot of argument or troubleMary is graceful to dance with.メアリーは一緒に踊るには優雅だ。*上記いずれも、(形容詞 or 名詞)+(それらの語句との組み合わせから常識的に外れない語)、のパターンしか取れません。*まぁ、表現の幅は tough 構文に比してずっと狭くなりますね。*単純な文章を作るのがせいぜいで、文法学者がこんな表現も実は可能だったと、長くて複雑な文例を挙げたりもしますが、塾長が数十年英語を学んでいて斯かる類いの用例を一度も目にしたことが無いのが実際のところです。*前回にも述べましたが、自身の考えを明快に、他からの誤解無きように伝達する場である学術論文などでは、tough 構文は元より、pretty 構文など使う事はあり得ません。*pretty 構文の to 不定詞句は添えものか?*下記、南 佑亮氏は、後ろにある to 不定詞句が単なる添え物的存在では無く、それどころが生産性の基軸とさえ成り得ることを主張しています。https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か?(日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1「従来、 [NP be ADJ to VP ]という形式 を持つ Pretty 構文 (Mary is pretty to look at. など)の意味については河野 (1984)、Asakawa Miyakoshi(1996)、篠原 (1993)、坂 本(2002)等 において述語の形容詞 を中心に議論がな されてきたが 、一方で to 不定詞句の方は省略可能で 「余剰 」なものである とみなされる傾向にあった 。本発表はまずこれに対する種々の反例を提示し、アフォーダンス 理論の考えを参 照 しつつ 、to 不定詞句の動詞も視野に入れながら 、シンプルな文例 を越えた広いレベルで当該構文の諸現象にアプロ ーチする必要性を主張 した 。 さらに用法基盤モデル(Usage Based Mode1 )の観点から 、[NP be ADJ .to look at ]という、動詞スロットが指定された構文スキーマが独自の意味単位を構成 し高い生産性を持っているという事実を指摘 し 、いわゆる Pretty 構文においては to 不定詞句 が余剰どころか生産性の基軸となり得るものでさえあることを主張した。」*この学会報告の先を知らないのですが、塾長が上に触れた様に、ウラの感情を伴い得、<含み>の気持が等閑視し得ないシーンは確かに有りそうですね。*そうでも無ければ、一見無駄言葉の、分かり切った to 不定詞の文言をわざわざ添えるまでも無い筈です。*使い道があるからこそ to 不定詞の文言を添えるのでは無いでしょうか? |
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2025年8月15日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第5回目となります。 https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movementhttps://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文The grammar of English predicate complement constructions.Rosenbaum, Peter StevenMassachusetts Institute of Technology. Dept. of Modern Languages. Thesis. 1965. Ph.D.http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/7582https://dspace.mit.edu/bitstream/handle/1721.1/16391/03190468-MIT.pdfhttps://kobegakuin.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=256&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1Tough 構文における言語間の相違 服部 亮祐 Ryosuke Hattori 神戸学院大学人文学人間文化 H & S 50 号 2022. 1 pp.21-30(全文無料で入手出来ます)中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002第17章:Tough 構文と目的節, pp.161-170https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/elsjp/81/0/81_KJ00006944286/_pdf/-char/ja"Pretty構文"再考 : to不定詞句は「余剰」か? (日本英文学会第76回大会報告)南 佑亮 (大阪大学大学院) 英文学研究 81 巻 (2005) p. 254-DOI https://doi.org/10.20759/elsjp.81.0_254_1Lasnik, Howard; Fiengo, Robert (1974). "Complement Object Deletion". Linguistic Inquiry. 5 (4): 535-571. JSTOR 4177842https://www.jstor.org/stable/4177842?seq=1*JSTOR はメール登録すると月間100本まで無料で論文の web 閲覧が可能ですが、見るだけでダウンロードは出来ません・・・。Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2019-03-17-1.html#3611. なぜ He is to blame. は He is to be blamed. とならないのか?tough (タフ) 構文 Tough movement*tough (タフ) 構文 Tough movement とは何か?*to 不定詞の目的語がその文の主語になっている構文のことです。*実は movement とは<移動>であり、本来あるべき場所から語句が移動している、の意味になります。それゆえ正しくは<tough 移動>です。*それを日本人の構文好きに由来するのか!?塾長は関知しませんが、構文として見、構文の名を付けて賞味せんとの姿勢でしょう。*自身の考えを明快に、他からの誤解無きように伝達する場である学術論文などでは、tough 構文は元より、次に扱う pretty 構文など使う事は毛頭ありません。*まぁ、<人文科学系の英語>の範疇ですね。*英語社会で観察される英語現象の解析でメシを喰っている英語学者らが、このような表現は使わない方がいいですよと、自己の食い扶持を減らす様な事をまずは言う筈がないこと、を想定して接して下さい。*日常生活の casual なシーンで気楽に使える様にすると表現の幅が広がります。--------------------------------This problem is tough to solve. この問題を解くのは困難だ。*ここに於いて、主語 this problem は to 不定詞の他動詞 solve の目的語の関係に有り、to solve this problem の語順になるべきところ、<左方移動>して主語にちゃっかり鎮座ましまして居る訳です。To solve this problem is tough.It is tough to solve this problem,と意味的に同値です。*Rosenbaum 氏 (1940年生まれ)が、1965年に提出した学位論文、The grammar of English predicate complement constructions. の中で、この名称で呼んだことに由来するとされています。*to 不定詞の意味上の主語、即ち行為者を指定するには for someone to do の形を取らせます。This problem is tough for me to solve. この問題を解くのは僕には困難だ。*to 不定詞の動詞の目的語が文頭にまで遡って位置することから、この to 不定詞を遡及不定詞 retroactive infinitiveと呼称する言語学者もいます。*しかし塾長としてはわざわざこの様な名称を提供するほどまでの価値はあるのかと感じますね。*そもそも、<語句が移動した>の単純な考え方が本当に正しいのかどうかの問題も出て来ます。*tough 構文は、基本的には難易度あるいは感情、価値判断を示す数多くの形容詞、またそれに類する一部の名詞 -要は当人の気持ちを反映する語- の後に不定詞が続く形で表現されます。*結局のところ、話者の気持ち、感情、価値判断に基づく表現であり、科学的な evidence に基づいての発言では無く、<文系の英語>ですね。*これでは学術論文とは無縁だ、と言うことが納得戴けるでしょう。*https://en.wikipedia.org/wiki/Tough_movement は、以下の形容詞と名詞をリストアップしています:形容詞:amusing, annoying, awkward, bad, beautiful, beneficial, boring, comfortable, confusing, convenient, cumbersome, dangerous, delightful, depressing, desirable, difficult, dull, easy, educational, embarrassing, essential, excellent, exhausting, expensive, fashionable, fine, fun, good, great, hard, horrible, ideal, illegal, important, impossible, impressive, instructive, interesting, irritating, loathsome, necessary, nice, odd, painful, pleasant, pleasurable, rare, risky, safe, simple, strange, tedious, terrible, tiresome, tough, tricky, unpleasant, useful, weird名詞:a pleasure, a breeze, or a cinch,*この様な感情、価値判断を示す以外の形容詞−例えば物の性状を表す形容詞−を用いて、以下の様な文を勝手に作る事は出来ません。×This mattress is thin to sleep on. .このマットレスは寝るにはペラペラだ。× It is thin to sleep on this mattress. が成立しないことからも、tough 構文化出来ないことがすぐに判別出来ます。*形容詞 thin を用いて文を作るとすれば、 too や enough を用いてThis mattress is too thin (for me) to sleep on.このマットレスは寝るにはペラペラだ。(不快だ)This mattress is thin enough (for me) to sleep on.このマットレスは寝るにはペラペラだ。(快適だ)などとする必要があります。*be 動詞或いは link verb (be 動詞に置き換えて利用出来る動詞、例えば become, remain など)に換えて動詞 take が利用される場合もあります。*これは、 <take a long time> のフレーズにほぼ限定されます。This book must take a long time to read.It must take a long time to read this book..To read this book must take a long time.*to 不定詞の意味上の主語を入れると、例えば、This book must take a long time for me to read.It must take a long time for me to read this book..For me to read this book must take a long time.*上で、第1文の to 不定詞は、副詞用法(目的)ですが、第2,3文では名詞用法になります。tough 構文の例*学習参考書に毎度登場の、This book is easy to read. などの様な退屈な例文ばかりでは無く、下記の様な表現も使いこなして下さい!*談話の主題とする名詞をまず述べて、それについての記述を以下続ける tough 構文の表現は、日本語の発想にとても類似する様に塾長は感じますね。*学術論文などの formal なシーンでは使用はお勧め出来ませんが、会話などのcasual な場で、気楽にどんどん使ったらと思います。---------------------------------------------------*形容詞の例cumbersome= very complicated and inefficient 入り組んでいて非効率的なThe machine looks cumbersome to use.その機械は使いづらそうだ。=It looks cumbersome to use the machine.To use the machine looks cumbersome.Usingthe machine looks cumbersome.depressing= causing a feeling of dejection or low spirits気を滅入らせる、憂鬱にさせるThe waxwork is slightly depressing to look at.その蝋人形を見るのは少し気が滅入る。It is slightly depressing to look at the waxwork.To look at the waxwork is slightly depressing.Looking at the waxwork is slightly depressing.embarrassing= causing problem 政治的な問題を起こすThe speech was deeply embarrassing to make to Cabinet ministers.このスピーチをする事は、閣僚にとって非常に政治的に問題となるものだった。=It was deeply embarrasing to make the speech to Cabinet ministers.To make the speech was deeply embarrasing to Cabinet ministers.Making the speech was deeply embarrasing to Cabinet ministers.*embarrasing は通常は、恥ずかしい、の意味で頻用されます。impossibleThe PC was impossible for anyone to access because no one knew the password.誰もパスワードを知らないため、そのPCにアクセスすることは不可能だった。=It was impossible for anyone to access the PC because no one knew the password.To access the PC was impossible because no one knew the password.Access the PC was impossible because no one knew the password.He is impossible to persuade to study hard.一生懸命勉強するよう彼に説得することは不可能だ。=It is impossible to persuade him to study hard.To persuade him to study hard is impossible.loathsome= hateful, offensive, nasty, disgusting 嫌悪すべきThese problems are loathsome and repellent to discuss with you.このような問題について、あなたと議論するのは嫌で嫌でたまらないのです。=It is loathsome and repellent to discuss these problems with you.To discuss these problems with you is loathsome and repellent.Dscussing these problems with you is loathsome and repellent.odd= unusual, strange 奇妙だHe is odd to blame.彼が責められるのは奇妙なことです。=It is odd to blame him.To blame him is odd.Blaming him is odd.cf. He is to blame.彼は攻められるべきだ。*He is to be blamed. でも通用しますが、なぜ受動態になっていないのかについては、以下をご参照下さい。https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2019-03-17-1.html#3611. なぜ He is to blame. は He is to be blamed. とならないのか?tedious= boring, dull, dreary, monotonous 退屈だA new computer program can be tedious to learn.新しいコンピュータープログラムを学ぶのは退屈なものだ。=It can be tedious to learn a new computer program.to learn a new computer program can be tedious.Learning a new computer program can be tedious.tricky= difficult to do or deal with 扱うのが厄介だScar tissue can be very tricky to remove.瘢痕組織を除去するのは非常に厄介なことだ。=It is tricky to remove scar tissue.To remove scar tissue is tricky.Removing scar tissue is tricky.weird= (informal) very strange 奇妙だ、あまりに変だThis concept seems excessively weird to use.このコンセプトは、使うにはあまりに奇妙に思える。=It seems excessively weird to use this concept.To use this concept seems excessively weird.Using this concept seems excessively weird.---------------------------------------------------*名詞の例a pleasureYou were such a pleasure to meet.あなたにお会いできて本当に嬉しかった。=It was such a pleasure to meet you.To meet you was such a pleasure.Meeting you was such a pleasure.a breeze= (informal) child's play, piece of cake児戯、お茶の子The entrance test is an absolute breeze to pass.入団テストに合格するのは児戯にも似たりだ。=It's an absolute breeze to pass the entrance test.To pass the entrance test is an absolute breeze.Passing the entrance test is an absolute breeze.a cinch=a thing which very easy and is therefore certain to be a success.とても簡単で、それゆえ成功が確実なこと、お茶の子A puppy is a cinch to train if you bribe him with treats.子犬の躾けは、おやつで手なずければお茶の子だ。=It is a a cinch to train a puppy if you bribe him with treats.To train a puppy is a cinch if you bribe him with treats.Training a puppy is a cinch if you bribe him with treats. |
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2025年8月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第4回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/DOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33Jean Albrespit, ≪ Adjectives or Verbs? The Case of Deverbal Adjectives in -ED ≫,『形容詞か動詞か?EDで終わる脱動詞形容詞の事例』 Lexis [Online], 15 | 2020,http://journals.openedition.org/lexis/4146; DOI : https://doi.org/10.4000/lexis.4146中間構文 Middle construction(中間結果構文Middle Rusultive Construction)2cf. 能動態と受動態の関係*他動詞⇔自動詞の問題を扱って来ましたので、ここでちょっと視点を転じ、他動詞の受動態即ち過去分詞形が、受け身の意味を消失し、自動詞的な意味合いを持つ例について観察して行きましょう。*例えば、他動詞 interest <興味を持たせる>に対しその受動態 be interested in が、<(人や事象に拠り)興味を持たせられる>の受け身の意味が吹き飛び、単に、<興味を抱いている>、の意味の状態を表す形容詞として機能する例があります。*be determined to do 〜しようと心に決めている、決心している、be finished が仕上がっている、仕事が終わっている、be motivated モチベーションが高い状態にある、も受動の意味を消失した叙述の形容詞として機能していますね。*例えば、web 版の Collins dictionary では、 interested などがそのまま adjective 形容詞として扱われ表示されます。*動作の受け身の意味〜されるでは無く、状態を表す事実上の形容詞〜している、その状態にある、として扱われていることになります。*相当数の過去分詞が形容詞として扱われている例を目にします。*とは言うものの、〜されている、の受け身の意味がまだ残るもの、それが失われたものなどが様々に混在します。*これらの形容詞化が進行したものに対して、例えば動詞 kill の過去分詞型 killed は辞書では検索されず、原形の kill で引くのみになります。be killed は単なる或る瞬間に於ける動作受け身ですね。---------------------------------------------------過去分詞を使った状態を表す叙述表現の例*日常的に、また入試問題などでも頻出するものの極く一部を採りあげました。*以下を覚えるだけでも大きな力になると思います。*<この過去分詞は形容詞化しているのではないか>と疑問に感じた都度、適当な英英辞典を参照すると英語感覚が磨かれます。*状態を表す記述なのか、動作の受動を意味するのか、或いはその間を揺れ動く語もあり、最終的には文脈から判断します。*曖昧性を抱えている語も少なくは無いと言う次第です。be interested in〜に興味を持っているI thought she might be interested in Paula's proposal.彼女はポーラの提案に興味があるんじゃないかと僕は思ったんだ。I think the young man is getting interested in gardening.あの若者はガーデニングに興味を持ち始めているようだ。be intereted to do(この先)〜することに関心があるI’d be interested to learn why he likes her.出来ればどうして彼が彼女のことが好きなのか知りたいですね。*Cambridge dictionary にこの1例が掲載されていました。*学校英語ではこの用例は登場せず、口語的な表現である可能性はあります。I would like to know why he likes her, if possible. と言うのが普通と思うのですが。be committed to= be supporting; be in favour of〜を熱心に支持、支援、擁護している、献身している、尽力している、〜を賛成している、実行・実現することを固く約束する*他動詞(貢献する、熱心に支持する、取り組む)の受動態のままの意味を持つ事も普通に見られます。*意味の取りにくい動詞かと思います。He said the government remained committed to peace.政府は引き続き平和(の実現)に尽力すると彼は述べた。Pastors wonder why people seem less committed today.牧師たちは、なぜ現代の人々があまり献身的でないように見えるのか疑問に思っている。(wonder は状態動詞です)Young people are much less committed to recycling their rubbish than older generations, a survey has found.ある調査によると、若者は年配の世代に比べてゴミのリサイクルに熱心でないことがわかった。Many feared that he would have no tolerance for people less skilful and, above all, less committed than himself.自分よりスキルが低く、何よりも自分より献身的でない人間に対しては、彼は寛容ではないだろうと多くの人が危惧していた。(fear は状態動詞です)Some of the acts flagged by police were committed before the national security law came into force.警察によって指摘された行為のいくつかは、国家安全保障法が施行される前に行われたものです。(これは他動詞 commit = to perform, carry out, execute 実行する、断行する、敢行する、の単なる行為受動態用法です)*動詞 commit には他の意味用法もあります。be covered with/ by〜に覆われる、覆われている (状態のみならず、動作受け身の意味も残しています)She was covered in blood and mucus and still attached by the umbilical cord.女の赤ちゃんは血と粘液にまみれて、まだへその緒でくっついていた。(カバーされている、状態を表す)Americans are covered by a mix of commercial and government healthcare.アメリカ人は民間と政府の医療保険に加入している。(カバーされている、状態を表す)Will my garden office be covered under my home insurance?ガーデン・オフィスは住宅保険でカバーされますか?(動作受け身)be possessed of= to have 〜を持って居る[formal]He is possessed of the most brilliant talents.彼は最も輝かしい才能を持っている。She was possessed of a terrifying sensation that the life was being squeezed slowly out of her.彼女は、命がゆっくりと搾り取られていくような恐ろしい感覚に取り憑かれていた。be scared of/ that〜が怖いと感じているHe was scared of letting us down.彼は私たちを失望させることを恐れていました。I'm certainly not scared of him.僕は彼なんか全然怖くはないさ。I was too scared to move.怖くて動けませんでした。Why are you so scared?どうしてそんなに怖いの?I was scared that I might be sick.病気になるかもしれないと僕は怯えていました。be determined to do= to have made a firm decision to do〜すると決心を固めている、決意しているHis enemies are determined to ruin him.敵は彼を破滅させようと決意している。He had great energy and was determined not to waste a single minute.彼の活力は大きく、1分たりとも無駄にするまいと決意していた。be finished= to be no longer interested in/ happening/ importantもう興味がない/起こっていない/重要ではない*終わった状態が継続しているとの現在完了の意味合いを持つ表現です。One suspects he will be finished with boxing.彼はボクシングを止めるだろうと思う者も居る。。He confessed: 'I thought I was finished.'彼は告白した: 自分はもう詰んだと思っていたと。Each dress is beautifully finished off with piped seams and fitted underskirts.どのドレスもパイピングされた縫い目とフィットしたアンダースカートで美しく仕上げられています。cf. パイビングについては次の動画を見て下さい: https://www.youtube.com/shorts/c68ypOtKIzMbe worried about〜を心配しているIf you're at all worried about his progress, do discuss it with one of his teachers.彼の進歩について少しでも心配なら、担任の先生に相談してください。The unions are worried that at least 100,000 jobs will disappear as a result of privatization.労働組合は、民営化によって少なくとも10万人の雇用が失われることを心配している。be concerned about〜を心配しているMarsh is particularly concerned about the impact on those working with the most polluting machines.マーシュは特に、最も汚染度の高い機械で働く人々への影響を懸念している。We are very concerned that people are having their programs cut.私たちは、人々が自分たちのプログラムを削減されることを非常に心配している。be motivatedモチベーションがある、やる気があるHe doesn't look very motivated.彼はあまりやる気がなさそうだね。Staying motivated is not easy, but there are methods that help.モチベーションを維持するのは簡単ではないが、助けになる方法があります。I came back to work motivated.僕は遣る気まんまんで仕事に戻った。(being mitivated、付帯状況を示す分詞構文)be involved in/ with= be taking part in, be connected with 参加している、関係がある、関与しているShe became involved with political causes after the Chernobyl nuclear disaster.チェルノブイリ原発事故後、彼女は政治活動に関わるようになった。(動作性を表すには、<become/ get + 過去分詞> の組み合わせにします)The Farmers' Club is an organisation for people involved in agriculture.ファーマーズ・クラブは農業に携わる人々のための組織です。= be the necessary parts for, be needed in 〜にとって必要物である,He cannot reveal how much money is involved in the scheme.彼はこの計画にどれだけの金が必要なのかを明かすことができない。---------------------------------------------------他動詞の受動態が状態を示す形容詞に変化していく過程*a. 他動詞の受け身形の過去分詞が単にそのまま受け身の意味を保有していて形容詞としての色彩が皆無なものから、b. 或いは受け身の意味を完全に失いほぼ独立した形容詞−多くは〜元の action の、しているの状態を表す−として機能するもの、の大別して2通りが存在しますが、実際には中間的な色合いを保っている語も多いです。*他動詞の受動態 (過去分詞型) が動作性 (〜される)、の意味を次第に薄め、状態を示す形容詞 (〜である、〜されている)、更には(〜である)化していく段階は、各語により異なり、この移行現象(形容詞化の進展度)については例えば下記の論文などが1つの参考になります。Jean Albrespit, ≪ Adjectives or Verbs? The Case of Deverbal Adjectives in -ED ≫,『形容詞か動詞か?EDで終わる脱動詞形容詞の事例』 Lexis [Online], 15 | 2020,Online since 13 June 2020, connection on 17 December 2020.URL : http://journals.openedition.org/lexis/4146; DOI : https://doi.org/10.4000/lexis.4146(無料で全文入手可能です)*ここの 85頁 のTable1 Degree of “adjectiveness” of V-EDs (ed で終わる過去分詞の「形容詞化」の程度)に、-ed で終わる過去分詞が a から f までの6通りの用法に分類されていますが、この用法が取れる数が多いほど、その過去分詞が形容詞としての色合いを強めていることを示すと著者は述べています。*因みに、a: Ved として名詞を前から修飾する、b: be Ved の叙述が可能、c: Ved として名詞を後ろから修飾する、d: 例えば very などの語を添えて状態の段階を記述出来る、e: remarkably, や surprisingly などの副詞を前方に置く事が出来る、f: 比較級、最上級の記述が出来る、になります。*これはこの論文の著者の分類方法ですので、他の指標も取り得る筈です。*実際には、be +Ved の叙述用法それ自体に於いて、動作の受け身そのものを示す動作性から、それを失い静的な状態を表す表現まで幅があるのですが、その分析が全く為されて居らず、ちょっと片手落ちの分析ではないかと塾長は感じました。*動詞の過去分詞→形容詞化の問題も、このシリーズにてこれまで扱って来た、他動詞⇔自動詞の揺れ動きの問題と深く関係している様に見えます。 |
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2025年8月5日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第3回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20CRID 1050282677802137472, NII論文ID 120005994600, ISSN 13417509Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39DOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_pdf/-char/jaここから無料で全文ダウンロード出来ます。中間構文 Middle construction(中間結果構文 Middle Rusultive Construction)1中間構文とは何か?This cracker eats crisp. このクラッカーは食べるとパリパリする。(註: crisp は副詞です)= This cracker is crispy when eaten.*この構文は一見能格構文の様に見えますが、しかしこれはその食べ物の性質を述べるものであり、能格動詞のような状態の変化、出来事 event を述べるものではありません。*従って事象が進行中であることを示す進行形も取れませんし、命令文や呼び掛け文も取り得ません。*この言い方は元より、能動態と受動態の中間的なものという意味であり、広義の中間構文 (Middle construction)、またこのカタチが取れる動詞は広義の中間動詞に相当します。*更に、広義の中間構文は、事象の変化を表すもの(能格構文)と事象の状態を表すもの(狭義の中間構文)から構成されます。*ここでは、その狭義の中間構文を扱うことになります。------------------------------------------------*本コラムでの定義広義の中間構文: 他動詞が自動詞に変化可能= 能格構文(転じた自動詞は状態の変化を表す)+狭義の中間構文(転じた自動詞は状態を表す)------------------------------------------------*狭義の中間構文に利用される動詞は、原英語由来の基本動詞であり、能格動詞とオーバーラップします。*能格構文と中間構文との違いや、研究上での論争点などについては下記論文が非常に分かりやすく説明して呉れ、お勧めします。英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。単なる主語の性状記述表現と考えるだけで良いのか?*この定義の動詞は明らかに主語の状態の変化、動作、event を表すものではなく、主語の静的な性状、特性を表すものになります。*それ故、動詞の後ろには必ず副詞が添えられます。*お分かりの様に、上記クラッカー自体は、そのまま静かにこの世に存在しているだけです。*尤も、単なる状態を表す記述では無く、このクラッカーを口に<してみると〜>(経験を表す、時間の経過がそこに存在)し、その結果、<〜だ>の受け身の動作性を多少とも残しています。更に分かりやすく表記すれば、If/When this cracker is eaten, then you will know it is crispy.=If/When you eat this cracker, then you will know it is crispy.もしこのクラッカーを口にすれば、あなたはそれがバリバリであることを知ることになる。*受動態でも能動態でも同じ意味の文が記述可能であるが故に、確かに<中間>的なのですが、基本的に動作性(する、される)の帰結として、性状が判明するとの、時間的にワンクッションを置いた<結果性>に関する視点が抜け落ちた命名との批判は成立するでしょう。*従って、この様な意味合いを含意していることを踏まえ、塾長は<中間動詞>の名称は排除して、<中間結果動詞 Middle Rusultive Construction>と命名します(新説登場!!)。*同様に、<中間構文>とは呼ばずに<中間結果構文>と命名します。*更にややこしくなったとの批判は受けるかと思いますが、生物学、霊長類学、人類学メインでメシを喰っている英語学素人が妙なことを言い始めたとお笑い下さい。*実際のところは、各動詞に拠りニュアンスの違いが存在し、5文型の様な、学校英語で<まだしも正々堂々、明快>に記述出来る類いの、明確な確固たる構文であるとの定義はしずらいところがあります。*厳密な下位分類を言い出すと、次々に新概念、新理論に基づく用語−失礼乍ら、端からは細分思考の英語学者が自縄自縛で勝手に悶絶している様に見えなくもありません−がそれこそ<生起>してしまいます。能格動詞と中間動詞区分の曖昧性*例えば、前回までに能格動詞として扱った動詞 break に対し、These glass containers breaks easily.これらのガラス容器は割れやすい。=These glass containers can be broken easily.These glass containers are fragile.このガラス製の容器は壊れやすい。の表現も可能であり、この場合自動詞 break は性状を表す動詞、即ち狭義の中間動詞としても機能する、と言えます。しかしこれを過去形にするとThese glass containers broke easily.このガラス容器は簡単に割れてしまった。と、状態の変化を表す動詞、即ち狭義の能格動詞になります。*これから考えると、広義の中間動詞を、狭義の能格動詞と狭義の中間動詞に分類する自体が曖昧性を抱えていることを示します。*以上から、英語学者以外の一般人の方々は、<中間動詞>なる動詞型の考え方、分類も世にはなんだか存在するらしいね、程度の知識を身に付ければ十分かと思います。*実際のところ、ergative verbs 能格動詞の語はまだしも広く知られていますが、middle verb の語でweb に検索を掛けても極く僅かしか情報が得られず、しかも書き手によって定義が少しずつ違う有様!です。*斯かる状況ではとても学校英語にて一般生徒対象に教えられるものではないことが分かります。*と言いますか、上記の塾長の解説を見ても何を言わんとしているのか理解出来ない、とお感じの方々が大多数かと予想します。*一部の研究者が唱えている概念、用語ですね。他動詞として一般的に利用される動詞が自動詞(<結果受け身>)として機能する例sellWe sell this book a lot. 我々はこの本を沢山売っています。= This book is now being sold a lot in our bookstore. (単なる受動態)This book sells well. この本はよく売れている。= This book is bought well. (状態を表す受動態)*これは本を店先に並べたらその結果として沢山購入されている、との結果を表すとも言えます。cf. sell for = be priced at 〜の価格だUnmodernised property can sell for up to 40 per cent of its modernised market value.近代化されていない不動産は、近代化された市場価格の最大40%で売却され得る。readIf you refer to how a piece of writing reads, you are referring to its style.ある文章がどのように読めるかを指す場合は、その文体について言及します。The book reads like a ballad.= The book is read like a ballad.この本はバラードのように読める。*その本を読んでみたところ、バラード風だった、との結果を表します。The book reads easily.その本はラクに読める・= This book can be read easily.peelThe orange peeled easily.そのオレンジの皮は簡単にむけた。wearMy coat wore out last winter.私のコートは、昨年の冬、着古されてよれよれになったMy coat wore well last winter.私のコートは、昨年の冬、よくもって呉れた。foldThese chairs fold up easily/quickly/in a jiffy.この椅子は簡単に/素早く/あっという間に折りたためる。washThis jumper washes well.このジャンパーはよく洗濯できる。transferMany of the techniques of scientific management have been developed in private industry and commerce. They do not always transfer easily to the public sector.科学的管理の手法の多くは、民間の産業や商業で開発されてきた。それらは必ずしも公共部門に容易に移行できるものではない。*bureaucratic language (役人の好む言葉)には中間動詞が観察されるとの指摘があります。*中間動詞は行為者、即ち責任者の存在をボカして事物がそうなる、そうなっていると示すのに役立つ用法でもありますので、頷けなくもありません。They do not always transfer easily to the public sector.= We cannot always transfer them easily to the public sector.それらの公共部門への移管は必ずしも簡単ではない。*英語原語が利用されるのが大半ですが、ラテン語由来の tranfer が中間的に利用される珍しい例ですね。cutThis dog food cuts and chews like meat.このドッグフードは、(飼い主が)肉のようにカットして(犬が)噛むことができる。しかるにThis knife cuts well.このナイフは良く切れる。= This knife is/ works well when used.この cut = to do cutting; work as a cutter*ナイフの性状を表しているとも考えられますし、このナイフを使ってみたけど良く切れるなぁ、との結果を表すとも言えます。*ここで紹介した他の動詞が同一内容を受動態で記述出来るのに対し、動詞 cut に関しては、This knife is cut well. (=このナイフは軟弱で他の刃物で切れるぐらいだ、の意味になってしまう) などの表現は取れません。*これを基に道具主語構文と呼称する者もいます。*厳密なことを言い始めると、各動詞毎に〜構文だと主張する細分化に行き着きますが、塾長はその姿勢には感心出来ません。註test= to achieve a specified result in a test検査で特定の結果を得るA quarter of the patients at the clinic tested positive for the AIDS virusその診療所の患者の4分の1がエイズウイルスに対して陽性であった。(この test の自動詞用法は医学部入試等には良く出題されます。)*test positive などの定型的表現として頻用されます。覚えておいて下さい!*ここに、 positive は副詞ではなく形容詞ですので、自動詞 test は中間動詞ではなく、動詞 turn/ prove/ find (〜だと判明する、分かる)の様な SVC 文型を作る linking verb とでも言うべきものです。*勿論、動詞 test には他動詞用法があり、通常は他動詞として利用される場合が殆どです。 |
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2025年8月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第2回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20CRID 1050282677802137472, NII論文ID 120005994600, ISSN 13417509Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_pdf/-char/jaDOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33https://en.wikipedia.org/wiki/Ambitransitive_verb能格構文と能格動詞 Ergative construction and verbs 2Ergative Verbs の例 (つづき)3. cooking: 調理−食材に熱、熱変化を加える−に使われる動詞*調理する、とは食材を加熱する行為ですので、寿司は<握って>も<調理する>とは言いません。*まぁ、アナゴ握りなどは別ですが。bakeMediterranean heatwave bakes Britain.地中海の熱波が英国を焼く。→ Britain bakes in a Mediterranean heatwave.地中海の熱波でイギリスが焼ける。cookLightly cook the vegetables for 10 minutes.野菜を10分間軽く煮て下さい。→ Let the vegetables cook lightly for about 10 minutes.野菜は10分ほど軽く火が通るようにして下さい。boilBoil the water in the saucepan and add the sage.鍋に湯を沸かし、セージを加えます。→ Let the water boil in the saucepan and add the sage.鍋に湯を沸かし、そこにセージが入ります。-------------------------------------4. movement/ motion: 事物、身体の動き、動作を表す動詞*例えば、時間経過後にその前後での静止画記録を見て変化が生じていることを指します。moveYou can move the camera both vertically and horizontally.カメラは縦にも横にも動かせます。→ The camera can move both vertically and horizontally.カメラは縦にも横にも動きます。flyIt may be possible to fly the women and children out on Thursday.木曜日に女性と子供たちを搭乗させることは可能かもしれない。→ It may be possible that the women and children fly out on Thursday.木曜日に女性や子供たちが飛び立つかもしれない。turnTurn your upper body round so that your shoulders are facing to the side.肩が横を向くように上半身を捻らせましょう。→ Let your upper body turn round so that your shoulders are facing to the side.肩が横を向くように上半身が捻る様にしましょう。*下の和訳は日本語としては不自然になりますね。*他動詞的に訳すと自然になります。openThe gatekeeper opens the church door and the crowd surges out.→ The church doors open and the crowd surges out.教会のドアが開き、群衆がどっと溢れ出てくる。closeThe gatekeeper closed the church door and the crowd was shut out.門番は教会のドアを閉め、群衆は閉め出された。→The church door closed and the crowd was shut out.教会のドアが閉まり、群衆は閉め出された。shakeThe hiccups may shake your baby's body from head to foot.しゃっくりは、赤ちゃんの頭から足まで体を揺さぶることがあります。Your baby's body may shake from head to foot due to the hiccups.しゃっくりのために、赤ちゃんの体が頭から足まで震えることがあります。-------------------------------------5. change: 状態の変化を表す動詞changeJerry changes the course of his marrige with the realization that he needs a good woman to complete his life.ジェリーは、自分の人生を完成させるためには良い女性が必要だと悟り、結婚生活を軌道修正する。→ The course of Jerry's marriage change for the better.ジェリーの結婚生活は良い方向へと変化する。*状態が変わる、ことを意味します。Jerry changes the course of his career when he openly states that money is not important.ジェリーは「お金は重要ではない」と公言したことで、キャリアの方向性が変わった。→The course of Jerry's career is changed by his decision to state openly that money is not important.お金は重要ではない」と公言したことで、ジェリーのキャリアは大きく変わった。*これは他動詞→受動態への単なる言い換えですが、この場合は<〜される>との行為性を強く表します。developInScent of a Woman(1992), a cranky, blind war veteran and his young caretaker develop a friend ship.『女の香り』(1992年)では、不機嫌な盲目の戦争帰還兵と彼の若い世話係とが友情を育てる。→ A friendship develops between a cranky, blind war vetran and his young caretaker.不機嫌な盲目の戦争帰還兵と彼の若い世話係の間に友情が芽生える。softenJerry's speech to his wife softens every hardened heart in that room.ジェリーの妻への言葉は、その部屋にいるすべての者の固くなった心を和らげる。→ Every hardened heart softens at Jerry's loving words.ジェリーの愛情に満ちた言葉に、皆の固くなった心が和らぐ。hardenTheir action can only serve to harden the attitude of landowners.彼らの行動は、地主たちの態度を硬化させるだけだ。→ Because of their actions, the attitude of the landowners will only harden.彼らの行動の所為で、地主たちの態度が硬化するだけだ。Her years of drunken bickering hardened my heart.彼女の長年の酔っぱらいの口論が、私の心を頑なにした。→ My heart hardened because of her years of drunken bickering.彼女の長年の酔っ払いの口論のせいで、私の心は頑なになった。6. damage, hurt: 障害を与える、破壊する意味の動詞breakShe broke a leg in a skiing accident.彼女はスキー事故で足を骨折した。→Her leg broke in a skiing accident.彼女の足はスキー事故で折れた。burstThe injury burst a blood vessel.その怪我は血管を破裂させた。→ A blood vessel burst due to the injury.その怪我が原因で血管が破裂した。*上の文の訳も自動詞的に訳すのが日本語として正しいですね。tearHe had stumbled down and torn the skin from his knees.彼はつまずいて膝の皮を破ってしまった。→ He had stumbled down and the skin tore from his knees.彼はつまずき、膝から皮膚が裂けた。bruiseI had only bruised my knee.僕は膝を打撲しただけだった。→ Only my knee bruised.膝が打撲しただけです。crackHe cracked his head on the pavement and was knocked cold.彼は舗道で頭を打ち、意識を失った。→His head cracked on the pavement and was knocked cold.彼の頭は舗道でひび割れ、意識が遠のいた。drownA storm capsized the boat and drowned forty-eight people.嵐がボートを転覆させ、48人を溺死させた。→ Forty-eight people drowned after their boat capsized during a storm.嵐でボートが転覆し、48人が溺死した。*上の文の訳も自動詞的に訳すのが日本語として正しいですね。sinkA large wave sank that ship.大きな波がその船を沈めた。→ That ship sank after suffering a heavy wave.その船は大波に襲われて沈んだ。crashHe crashed his bike into a parked car and broke his arm.彼は自転車で駐車中の車に衝突し、腕を骨折した。→ His bike crashed into a parked car and his arm broke.彼の自転車は駐車中の車に衝突し、彼の腕は折れた。spillDon't spill water on your suit.スーツに水をこぼさないで。→Don't let water spill on your suit.スーツに水がこぼれないように。-------------------------------------7. start, finish: 事象の始まり、終わりを表す動詞startIn the movieJerry Maquire(1996), the main character starts a romantic relationship without much love.映画 『ジェリー・マクワイア』 (1996年)では、主人公があまり愛もなく恋愛関係を始める。→ In the movie Jerry Maquire (1996), a romantic relationship without much love starts in the main character.映画 『ジェリー・マクワイア』 (1996)では、あまり愛のない恋愛関係が主人公に始まる。beginI began the book six months ago, but I cannot seem to finish it.その本は6ヶ月前に読み始めたのですが、私には読み終えることができないようです。→The book began six months ago, but it doesn't seem to me that I can finish it.その本は6ヶ月前に読み始めたのですが、私には読み終えることができなそうです。endJerry nearly ends his career by focusing on clients, not money.ジェリーはお金ではなくクライアントに集中することで、もう少しでキャリアを終えるところだった。→ His career nearly ends by focusing on clients, not money.彼のキャリアは、お金ではなく、顧客に集中することで終わりかけた。finishThey finished the evening by welcoming three new members.彼らは3人の新メンバーを迎えて夜を終えた。→The evening finished with the welcoming of t hree new members.この夜は3人の新メンバーを迎えて幕を閉じた。haltStriking workers halted production at the auto plant yesterday.労働者のストライキは、昨日自動車工場の生産を停止させた。→ Production at the auto plant halted because of workers’ strikes yesterday.昨日、労働者のストライキにより自動車工場の生産が停止した。*Production at the auto plant was halted because of workers' strikes yesterday.この様に<素直>に受動態にて記述するのが自然な英語です。-----------------------------------------------------------------cf. ambitransitive verb 自他動詞*本来他動詞であるものが目的語を省略しても成文可能とされる場合、その動詞を ambitransitive verb 自他動詞と呼称します。*例えば、I like to write (short stories) in my ree time. の write がそれに該当します。*目的語が見当たらない場合、一見自動詞用法の様に見えますが、目的語は話し手のアタマの中に挙げられていることになります。*元々の目的語が主語にならない点で ergative verb とは全く異なります。能格動詞であれば、John tripped Mary.ジョンはメアリーを転ばせた。John tripped.ジョンは自分で転んだ。の両表現が可能ですが、I like to write (short stories). が成立しても、×Short stories write. は不文です。*広義の自他動詞には、本来の他動詞がたまたま目的語を表記しないもの(二次的な自動詞)と、能格動詞の2つを含みます。*前者には。eat、follow、help、knit、read、try、 watch、 win、 know などの語が頻用されます。*本来的に自動詞であるものが、たまたま目的語を採って他動詞化するパターンもありますが、trip、explode、melt、dissolve、walk、march などがそれに該当します。 |
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2025年7月25日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまで、日本の文部科学省の学習要項に採りあげられている一通りの構文形式(特殊構文)について解説を加えて来ました。実は、言葉とは生き物ですので、新たな一定の勢力を持つ様式が世に広まれば、それが新たな構文形式として広く認知される筈ですし、実際、現況に於いてあまり注目されていない類いの構文形式も存在しています。これらは学校に於いて明確なカタチで学習指導を受けるものではないものの、実は日常的に頻用されるものがあり、或いは文学作品の中などにも散見されもします。学校英語としてまともに習うことが無い或いは少ないが故に、どうやって文法的に解釈すべきなのか、受験生などの頭を毎度悩まさせもすることでしょう。意味は分かるが文法的にどの様に理解すべきか判断に困る表現−破格ではないのかとの疑問を招く−も実際のところ少なくはありません。 これまで続けて来た構文ネタの1つの括りとして、このような、市井の日本人には明確にその名を知られていない<特殊の上を行く構文>−しかし一定量の英文に触れていれば必ずお目に掛かる筈の<構文>−について整理がてら触れていきましょう。尤も、文法面での解釈については研究者間で必ずしも見解の一致を見ているとは限らないものも含まれますし、その命名分類も恣意的な視点に立つものもあります。native 一般人がその用語、命名を知らず、英語学者が主だって分類命名している概念も存在します。これらの文章構造に対し、それはどの様なシーンや意味合いで使われるのかを分析・考察する類いの学術論文も多々あり、その考察や<新理論>を批判精神に乏しく丸ごと引き継いで日本の英語学者が仕事を始める展開−大学の英語の先生とはこんなことでメシ喰っているのか!−も垣間見ることも出来ます。ここで<構文>と括弧を付けているのは、実は構文そのものとは言えず、寧ろ動詞の機能に付いての分類、即ち動詞型の分類が先に立つものであるからです。・・・ざっとこの様な経緯もあり、学校英語では指導の骨幹としては明確には扱われないとも言えますが、試験(入試)に出して置いて生徒を悩ませるぐらいなら何故最初から定義を与え、簡略で構わないので教えないのかとの疑問も生じますね。まぁ、塾長のコラムをお読みのハイクラスの方々には耳に入れて置いて損なことは全くありません。その第1回目となります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/能格言語https://ja.wikipedia.org/wiki/能格構文https://ja.wikipedia.org/wiki/能格動詞https://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://en.wikipedia.org/wiki/Labile_verbhttps://ja.wikipedia.org/wiki/中間構文https://ja.wikipedia.org/wiki/中間動詞Christopher Barnard 『日本人が知らない英文法』 河出書房新社刊、2005大庭幸男 『英語構文を探求する』 開拓社 2011中村 捷、金子 義明 『英語の主要構文-構文から見た英文法』ISBN 9784327401290 研究社 2002Middle verbshttps://www.usingenglish.com/reference/middle-verb/英語の中間構文 : 先行分析とその問題点 English Middle Construction : Previous Analyses and the Problems柘植, 美波 Tsuge, Minami 金城学院大学大学院文学研究科金城学院大学大学院文学研究科論集 23 74-47, 2017-03-20CRID 1050282677802137472, NII論文ID 120005994600, ISSN 13417509Web Site https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/871https://kinjo.repo.nii.ac.jp/record/871/files/03_tsuge.pdfここから無料で全文ダウンロード出来ます。Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_article/-char/ja/https://www.jstage.jst.go.jp/article/geneiken/10/0/10_KJ00001916818/_pdf/-char/jaDOI https://doi.org/10.20802/geneiken.10.0_33能格構文と能格動詞 Ergative construction and verbs 1能格構文と能格動詞 Ergative construction and verbs*英語の文法用語自体が必ずしも言葉の明確な意味合いを根拠に命名されている訳では無く、更にそれに対して無理遣り!和訳名を付けた結果、何を意味しているのか全く理解出来なくなるケースは多々あります。*この<能格>が何を意味するのか、説明を見ない限り一般人は見当も付けられないのが正直なところでしょう。*<他動詞の目的語となる語を文頭に置いて主語として用い、元の他動詞を自動詞として置く>ことが可能な形式の構文を能格構文 Ergative(アーガティブと発音)construction、 またその動詞を能格動詞 Ergative verb, Labile_ verbsと呼称します。*ここに於いて最初の他動詞の主語は消失します。*しかし、用語 <能格>を使う事に対しては反対意見も存在します。また文法学者に拠り定義の揺らぎも見られます。*ここではその内の1つの定義に基づいて解説を行います。*ここで利用される自動詞は意味合いに於いては一見、行為者(=主語)の存在を消した他動詞の受動態に相当します。be + 他動詞過去分詞型の組み合わせであるべきが、自動詞化させた他動詞1語で充当させる形式と言えなくもありません。*但し、受動態に相当するとは言っても、何か動作が〜される、の<行為受け身>の意味合いは薄くなり、能動態と受動態の中間の様な態になります。*これ故、この構文を中間構文 Middle construction、使われる動詞を中間動詞 Middle verb として扱う者も居ます。*文法学者に拠っては、更にこの内の、事象、事物の状態の推移(単なる状態では無く変化)を表すものを能格構文またその動詞を能格動詞と置き、他方、事物の状態を記述するものを中間構文、中間動詞と区別する者も居ます。*広義の中間動詞=狭義の能格動詞+狭義の中間動詞、の考え方になりますが、本コラムもこの考え方を採用して話を進めますね。*他動詞と自動詞の両者として機能するが、受動態を取れない動詞(例えば動詞 have)を中間動詞として定義する文法学者も存在し、特に<中間動詞>は用語としての定義が確立が為されていない模様です。斯かる定義の入り乱れ状態では、学校英語で扱い様が無いのが首肯出来ますね。cf. Middle Verb についての一考察 村山康雄、現代英米研究 1976 年 10 巻 p. 33-39*まぁ、要は、いずれも日本語で言うところの他動詞、また自動詞としての両者として機能します。*本来の他動詞が目的語をアタマの中に抱えたまま記述しないで済ませる場合があり、これは一見自動詞に見えますが、それとは異なりますのでご注意下さい。*他動詞、自動詞のどちらが先に存在したのか、にまつわる大きな議論のベースともなる動詞群になりますね。He opened the door widely. 彼はドアを大きく開けた。 (能動態)The door was widely opened. ドアは大きく開かれた。 (受動態→元の文の主語・行為者が隠される)The door opened widely by itself. ドアは自ずと大きく開いた。(能格構文→元の文の主語が消失、動作の記述を行っている)→動詞 open は能格動詞と言える。The door opens easily. そのドアは簡単に開く。→そのドアの性状を示しているので中間動詞だ!He explained his reasons. (能動態)His reason was explained. (受動態)×His reasons explained. (能格構文不成立)→動詞 explain は単なる他動詞だ!*能格動詞は、日常生活に頻用する基本的な動詞に多く見られます。*これ以降扱う、特殊に輪を掛けた構文に於いても、英語での大和言葉に相当する、短めの基本的な動詞に関連するものが大半になります。*ラテン語由来の<高級>動詞の世界のウラに棲息する、一種隠花植物の様な存在にも見えます。*これらは、原英語の持つ性質を垣間見せている用法だ、とも言えるでしょう。*ここに再び強調しておきますが、能格動詞とは言っても目的語の取り方からは他動詞と自動詞用法のいずれかしかありません。*要は動詞型に基づく分類に帰結します。make を使役動詞、hear を感覚動詞、think を想念動詞、report を報告動詞、be を連繋動詞(主語と補語を繋ぐ)、want を連鎖動詞(後ろに別の動詞を to 不定詞、動名詞、或いは動詞原型で繋げる)、understand を状態動詞、find を動作動詞などと名付け、それら固有の使い方がある、と分類するのと同じです。*そもそも他動詞、自動詞などと区別するのも立派な動詞の分け方ですね。*動詞 make は、SVOを採る他動詞であり、動作動詞であり、SVOCを採る使役動詞であり、SVOOを採る二重目的語動詞だ、と言う塩梅で、1つの動詞は多くの語で形容もされ得ます。*英語なる言語は、動詞の格変化の多くを失っており、その分、語順、語の配列形式で機能させます。*従って、動詞型、即ち動詞の機能は−当たり前の事なのですが−その配列の形式性、順序で示されることに改めてご留意下さい。Ergative Verbs の例*一部、How to Use Ergative Verbs...Erga-what?! Learn Advanced English Grammar with Jennifer English with Jenniferhttps://youtu.be/F1Co-vqz0HM から例文並びに解説を使わせて戴いています。*以下全て、他動詞表現→自動詞表現に書き換えています。*いずれも、事象、事物の状態の推移(単なる状態では無くその変化)、即ち動作性、より正確には、事象の出来事 event を表す意味合いになります。*能格動詞の他動詞を使った英語表現が必ずしも能格動詞の自動詞表現に上手く書き換え出来る訳ではありません。*元の文がSVOを取る単純な文に大方限定されます。入り組んだ複雑なカタチの文は能格構文に書き換えが出来ません。*<素直>に他動詞の受動態として記述すればそれで丸く収まる例が大半です。*逆に言えば、能格構文とは単純な造りの短い表現に大方限定されて使われる用法であることが理解出来ます。*これは、能格動詞は、日常生活に頻用する基本的な動詞に多く見られる、との事実に合致します。*複雑な表現は能わず、単純な短い表現向き、と言えます。*勿論ですが、書き換えで文のニュアンスは変わります。*以下、一説では能格動詞は7つに分類されますが、塾長もそれに従い記述します。一部の動詞のみ掲載しています。*英語の能格表現を和訳する過程で、日本語での他動詞表現、自動詞表現に各々限界があることが如実に分かります。*煎じ詰めれば日本語には無生物主語の表現が無く、その主語を、原因を示す副詞節、副詞句に置き換え、自動詞を用いる表現を取る、−事象を出来事 eventとして把握し理解する言語、或いは敢えて行為者に拠る行為をボカす言語−一面に於いて<自動詞的>発想優先言語と言えるのかも知れません。*原因を作ったのは誰なのかの<責任>の意識が薄くなり、現象として起こったのだから仕方がないの精神構造に繋がりますが、その分、良かれ悪しかれ諍いの発生も下がるでしょう。*能格構文とはこの意味で、日本人に近い英語の発想法だと言えるかも知れませんね。-------------------------------------1. size/ degree: 大きさ、サイズ、程度の増減を表す動詞increaseThe veteran's loneliness and suffering increase his anger.退役軍人の孤独と苦しみが怒りを増大させる。→ The veterans's anger increases because of his loneliness and suffering退役軍人の怒りは孤独と苦しみのために増大する。decreaseThe ten-day march across the desert decreased rapidly their supply of water砂漠を横断する10日間の行軍は、彼らの水の供給を急速に減少させた。→ During the ten-day march across the desert their supply of water decreased rapidly.砂漠を横断する10日間の行軍の間に、彼らの水の供給は急速に減少した。*最初の文の和訳も2番目の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は他動詞を自動詞化して表現することになります。diminishFederalism is intended to diminish the power of the central state.連邦主義は中央国家の力を弱めることを意図している。→ Federalism is intended for the power of the central state to dimish.連邦主義は中央国家の力が弱まることを意図している。lessenMake sure that your immunisations are up to date to lessen the risk of serious illness.重病のリスクを減らすために、予防接種が最新であることを確認しなさい。→ The risk of serious illness will lessen by making sure that your immunisations are up to date予防接種が最新のものであることを確認することで、重篤な病気にかかる危険性は減るだろう。*これは以下の様に表現するのが普通でしょう。The risk of serious illness will be reduced by checking that your immunisation are up to date.予防接種が最新であることを確認することで、重篤な病気にかかるリスクを減らすことができる。strengthenThe final speech by Frank in defence of Charlie strengthens our appreciation of the old veteran.チャーリーを擁護するフランクの最後のスピーチは、退役老兵に対する私たちの評価を強める。→ Our appreciation of the old veteran strengthen as we listen to his speech in defence of Charle.チャーリーを擁護する彼のスピーチを聞くと、退役老兵に対する我々の評価は強まる。lengthenShe began to walk faster, but he lengthened his stride to keep up with her.彼女は速く歩き始めたが、彼は彼女についていくために歩幅を長くした。→ She began to walk faster, but his stride lengthened, keeping up with her.彼女は速く歩き始めたが、彼女に追いつこうと彼の歩幅は長くなった。-------------------------------------2. temperature: 温度変化を表す動詞coolHuge fans will have to cool the concrete floor to keep it below 150 degrees.コンクリートの床を150度以下に保つには、巨大なファンで冷やさなければならない。→ By using huge fans, the concrete floor will have to cool to be kept below 150 degrees.150度以下に保つためには巨大なファンを使うことでコンクリートの床が冷えねばならない。*2番目の文の和訳(日本語として不自然)も最初の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は自動詞を他動詞化して表現することになります。warmThe sun had come out to warm his back.太陽が出て来て彼の背中を暖めた。→ His back warmed as the sun had come out.太陽が出てきたので彼の背中が暖かくなった。meltMeanwhile, melt the white chocolate in a bowl suspended over simmering water.その間に、ホワイトチョコレートを湯煎にかけたボウルで融かして下さい。→ Meanwhile, let the white chocolate melt in a bowl suspended over simmering water.その間に、ホワイトチョコレートをボウルに入れ、湯煎にかけて融けさせます。*2番目の文の和訳も最初の文の様に和訳するのが通常です。*詰まり、この文では日本語表記は自動詞を他動詞化して表現することになります。(チョコが融けるのを待ちます、なら自動詞として不自然ではありません)freezeYou can freeze most fresh herbs successfully.たいていのフレッシュハーブはうまく冷凍できる。→ Most fresh herbs will freeze successfully.ほとんどのフレッシュハーブはうまく凍ります。(つづく) |
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2025年7月20日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1 advanced level 以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第11回目、最終回です。 British Council Learn English Grammar C1 grammar Participle clauseshttps://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clausesこの British Council のサイトは分詞節の意味用法を従来の<分詞構文>の意味用法を包含させつつ分類しています。https://en.wikipedia.org/wiki/British_Council『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章 現在分詞・過去分詞 pp.48-53『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心としてここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。分詞節 Participle clauses とは*最近では、従来の分詞の用法の1つとしての<分詞構文>の独立した括りを止め、分詞利用の他の用法をも含めて分詞節 Participle clauses なる包括的な概念で解説する動画や web ページを目にする事も増えて来ています。*塾長がこれまで述べて来た分詞構文やその周辺に関する文法的解説は、<古典的且つ正統的な>解説に外れないものと思います−何せ50年以上前の定評ある複数の学参に依拠しています−が、そこに相当程度の合理性は認められるとしても−一面に於いて雁字搦め、自縄自縛の英文法ですね−別の新たな視点からの分詞に関する体系を見つめ直すのも全く悪いことではありません。*実際のところ、例えば1つには疑似分詞構文を眺めて行くと、分詞構文には見えない一般的な分詞利用の表現方法と区別が無くなる場合が見受けられ、だったら分詞構文なる狭い名称ではなく、より広い、別の名で呼び、総合的な視点に立ち解説を行うことには確かに合理性を認めます。*その様な按配で、ここでは分詞節 Participle clauses の考え方について軽く触れておきましょう。*耳に入れて置いて損なことは全くありません。*まず最初に注意しておきますが、節 clause とは主語と述語部を備えたいわゆる<まともな体裁の文>を指しますが、sentense 文とほぼ意味は同じです。*participle sentenses と言い換えても良いものですが、文法用語風に呼びたいとの気持の現れですね。*participle construction にすると、文の構造に注目する呼び方になりますが、こちらも意味するところはほぼ同じです。*分詞節の考え方では、分詞構文の意味用法の捉え方が<古典的>分類とはやや異なります。*塾長は全てに賛成は出来ず、また分詞利用表現の意味用法の全てを網羅するものとはとても思えませんが、一定の合理性を認めます。British Council からの解説https://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clau*このサイトは以下の様に分詞構文の意味用法を分類しています。一部付け加えた他はほぼそのまま利用させて戴きます。*因みに、British Council とは 「ブリティッシュ・カウンシル(英: British Council)は、1934年に設立されたイギリスの非営利団体で、イギリス政府により設立された公的な国際文化交流機関であり、各国における英語の普及やイギリスと諸外国の間の教育・文化交流を目的としている。」 とWikipedia に掲載されています。*詰まりは、ここでの英語指導内容は英国政府のお墨付き−内容レベルと別として−と言う話になりますね。*但し、英語の話し手を増やす為の施策であって、語学としての英語理解とはやや離れる様に見えます。*2025年3月17日附けの新聞報道によりますと、「東京都立高入試の一環で行われている英語スピーキングテストの運営事業者で英国の公的機関「ブリティッシュ・カウンシル」(BC)が財政危機に陥っていることが17日、関係者への取材で分かった。BCはすでに財政危機に関する説明を都に行い、スピーキングテスト継続も約束。ただ、BCでは事業縮小の可能性が論じられている上、実施可能な発注先は限られているとみられ、スピーキングテストの継続性が疑問視されかねない状況だ。」https://news.yahoo.co.jp/articles/f9c8837a1383fce29c7badd08f09b614ada3b3dbとされています。*コロナ禍の影響による資金繰りの悪化から1億9700万ポンド(約380億円)の負債を抱えていると報道もされているのですが、英語指導事業の需要が低迷し、それが尾を引いたとのことでしょう。---------------------------------------------1. Present participle clauses 現在分詞節Here are some common ways we use present participle clauses. Note that present participles have a similar meaning to active verbs.以下に現在分詞節の一般的な使い方の幾つかを紹介します。現在分詞は動作動詞と似たような意味を持っていることに注意してください。・To give the result of an action 動作の結果を表す <結果>The bomb exploded, destroying the building.爆弾が爆発し、建物を破壊した。*これは、The bomb exploded, and it (= the bomb) destroyed the building <動作の連続>The bomb exploded, which destroyed the building <which は前文内容を先行詞に取る 結果用法>の2通りに解釈可能です。まぁ、ここにも曖昧性が出て来ます。・To give the reason for an action 動作の理由を述べる <理由>Knowing she loved reading, Richard bought her a book.彼女が読書好きだと知っていたので、リチャードは彼女に本を買ってあげた。→ As Richard knew she loved reading, he bought her a book.・To talk about an action that happened at the same time as another action 他の動作と同時に起こった動作について話す。 <同時>Standing in the queue, I realised I didn't have any money.列に並んでいて、私はお金を持っていないことに気づいた。→While I stood in thw queue, I realised I didn't have any money.・To add information about the subject of the main clause 主節の主語に関する情報を追加する。 <情報追加>Starting in the new year, the new policy bans cars in the city center.新年から、新しい方針で市街地での車の乗り入れが禁止される。→As it starts in the new year, the new policy bans cars in the city center.*ここの as は真実を述べる用法です。「新年から開始されることなのだが」---------------------------------------------2. Past participle clauses 過去分詞節Here are some common ways that we use past participle clauses. Note that past participles normally have a passive meaning.過去分詞節の一般的な使い方の幾つかを紹介します。過去分詞は通常、受動態の意味を持つことに注意してください。・With a similar meaning to an if condition if 条件に似た意味を持つ <条件>Used in this way, participles can make your writing more concise.このように分詞を使えば、文章をより簡潔にすることができます。→ If you use participles in this way, it can make your writing more concise.・To give the reason for an action 動作の理由を述べる <理由>Worried by the news, she called the hospital.そのニュースに心配になり、彼女は病院に電話した。→As she was worried by the news, she called the hospital.・To add information about the subject of the main clause 主節の主語に関する情報を加える。 <情報追加>Filled with pride, he walked towards the stage.プライドを胸に満たし、彼はステージに向かって歩いた。→He was filled with pride and walked towards the stage.→He alked towards the stage and he was filled with pride.→He walked to the stage with pride.*状態を述べる付帯状況の言い換えは、そのままで完成形とも言えるので意外や難しく、適宜工夫を凝らす必要があります。---------------------------------------------3. Perfect participle clauses 完了分詞節Perfect participle clauses show that the action they describe was finished before the action in the main clause. Perfect participles can bestructured to make an active or passive meaning.完了分詞節は、主節の動作の前に記述した動作が終了したことを示します。完了分詞は能動的な意味にも受動的な意味にも構成可能です。以下全て<前時>Having got dressed, he slowly went downstairs.服を着終え、彼はゆっくりと階下へ降りて行った。Having finished their training, they will be fully qualified doctors.研修を終えたので、彼らは完全に資格を持った医者になるだろう。Having been made redundant, she started looking for a new job.余剰人員になったので、彼女は新しい仕事を探し始めた。---------------------------塾長註*元の文が、現在完了(これは時制上は現在形)+現在形の場合も、仕立てた分詞l利用表現側は完了分詞になります。*これを元に戻す場合、過去+現在、なのか、現在完了+現在なのか区別が出来ません。*文脈でいずれかを判断することになります。Having been ill since last night, he cannot go to school.→ As he has been ill since last night, he cannot go to school. (since の語があるので、現在完了の継続用法だと判断出来ました)---------------------------4. Participle clauses after conjunctions and prepositions接続詞や前置詞の後の分詞節It is also common for participle clauses, especially with -ing, to follow conjunctions and prepositions such as before, after, instead of, on,since, when, while and in spite of.分詞節、特に-ingを伴う分詞節は、before, after, instead of, on, since, when, while, in spite of などの接続詞や前置詞の後に続くのも一般的です。---------------------------塾長註*doing の前に位置する文言を前置詞(句)とみなせば、doing は動名詞ですが、接続詞と考えれば doing は現在分詞に相当し、分詞構文を構成すると考えられます。*しかし、一般的な文法に於いて、例えば in spite of, despite は前置詞(句)とされ、次に来る doing は gerund 即ち動名詞そのものとして理解されます。*従って、このBritish Council の<分詞節>扱いは、世間一般の英文法理解とはズレて居ます。*native 一般には、動名詞も分詞も無く、似た様な構造にて同じ意味の文章を作る事が出来る、と扱う姿勢を、British Council 側が示しているとのことでしょう。*英語を全く知らない初学者にはこの様な指導法で足りますし、実際、問題なく日常英語も話せるようになる筈です。*ここに指導上の合理性が存在します。*<文法アタマでっかち、英語話せない日本人>には向いた指導法にも見えます。---------------------------Before cooking, you should wash your hands.料理をする前に、手を洗うべきです。= Before you cook, you should wash your hands.*最初の文の before を分詞構文の接続詞では無く、単なる前置詞だと見倣す者が大半でしょう。While packing her things, she thought about the last two years.荷物をまとめながら、彼女はこの2年間のことを考えた。→While she packed her things, she thought about the last two years.= While she was packing her things, she thought about the last two years.(進行形+状態動詞の組み合わせです)*以下の例文を British Council は<分詞節>、即ち doing を現在分詞として扱いますが、一般的な文法解説では、instead of, on, in spite of などは前置詞(句)とされており、次に来る doing は gerund 動名詞とされます。Instead of complaining about it, they should try doing something positive.文句を言う代わりに、何か前向きなことをしてみるべきだ。→ They should stop complaining and try doing something positive.*try to do 〜しようと努力する(実際に行うかは不明)、try doing 実際に手を染めて行ってみるOn arriving at the hotel, he went to get changed.ホテルに着くと、彼は着替えに行った。= When he arrived at the hotel, he went to get changed.In spite of having read the instructions twice, I still couldn't understand how to use it.説明書を2度読んだにもかかわらず、使い方が理解できなかった。= Although I (had) read the instructions twice, I still couldn't understand how to use it.*この having は動名詞ですが、in spite of を接続詞とみなせば現在分詞であり分詞構文相当になります。今回で分詞構文の解説を終わります。錯綜するところも多々あったと思いますが、大まかな意味用法を理解して戴ければと思います。接続詞などを省略している関係から意味の曖昧性を全ては排除出来るものではありません。その視点の上に、あとは文脈からの意味の把握を進める形になりますね。一連の<特殊>構文の解説はこれで終わりになりますが、何度も見返し曖昧なところは排除するべく理解を深めて戴ければと思います。皆様の大きな力となる筈です。さて、次のテーマですが、<更に輪を掛けた特殊>構文を扱います。ここまで来ると、毒を喰らわば皿まで、の心境!?ですね・・・。 |
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2025年7月15日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1 advanced level 以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第10回目です。 British Council Learn English Grammar C1 grammar Participle clauseshttps://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心としてここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。Prepositional absolute participle construction前置詞独立分詞構文*with/without +主語名詞+<現在分詞、過去分詞、形容詞(句)>で、<付帯状況>、即ち event の同時発生を表しますが、この主語名詞は主文とは異なる主語になります。*この構文を、前置詞独立分詞構文 Prepositional absolute participle construction と呼称もします。*独立分詞構文に、with/without を 冠して、それが付帯状況を述べるものであることを明示する表現(副詞句)になります。*これらの with, without を添えなくても、同じ文意のものが作成出来ますが、with を付けた方が自然に聞こえる場合が殆どでしょう。。*付帯状況の明示を行うことで、主文に対する従属性をやや弱め逆に等位性を強めます。*従って、別文に仕立てて等位接続詞 and や but で繋ぐ事が出来る場合もありますし、主文側を従属節に仕立てて主客転倒させても意味がほぼ変わらない場合もあります。*単なる付帯状況、即ち事象の同時並立性を示すだけに留まらず、他の分詞構文同様に、理由、譲歩、条件などのニュアンスを含む事があります。*with 以下が名詞を修飾する形容詞句として働く場合も見られますが、この場合、with/without 以下は形容詞句になります。-----------------------------------------*非分詞構文化する際の表現方法を覚えて下さい。*それが和訳のコツにもなります。He sat in the chair with his mouth (being) open.彼は口を開けたまま椅子に座った。→ When he sat on the chair, his mouth was open.彼が椅子に座った時、彼の口は開いていた。(主節を従属節扱いに転じても文意は殆ど変わりません。)→ He sat on the chair, and his mouth was open. (等位接続詞 and で繋いでも同時性を表せます)I went to bed with the window (being) open.窓を開けたままベッドに入った。→ When I went to bed, I left the window open.She stood there with her face turned away from us. (being が省略されています)彼女は私たちから顔をそむけたまま立っていた。→ While she stood there, she kept her face turned away from us.彼女はそこに立っている間、私たちから顔をそむけたままだった。We walked on without a single word spoken.私たちは一言も話さずに歩いた。→While we walked on, we spoke no sigle word.歩いている間、私たちは一言も話さなかった。The boy with his hands in his pocket is my brother. (形容詞句として機能しています)ポケットに手を入れている少年は私の兄です。→The boy whose hands are in his pocket is my brother.I am sitting under tall trees, with a great wind boiling like surf about the tops of them, so that their living load of leaves rocks and roars insomething that is at once exultation and agony. (G.K.Chesterton)私が高い木の下に座っていると、木々の梢の辺りでは強風が押し寄せる波のように沸き立っている。そんな風にして、重々しいまでの青葉が、同時に歓喜でもあり苦悩でもある様な姿で、揺れ動き吠え立てるのである。I am sitting under tall trees, with a great wind boiling...→ When I am sitting under tall trees, a great wind boils...The cat set still, with its eyes fixed on what was invisible to a human being.猫はじっと、人間には見えないものを見つめていた。Without a word said to the present company, Tom stood up anf left the room.居合わせる仲間に何も言わず、トムは立ち上がり部屋を出て行った。With her heart beating fast, Jane threw t he door open.ドキドキしながらジェーンはドアを開けた。There was a road paved with white stone running on the outer brink of the fosse. Along this they went westward, with the city ever climbing like a green cloud upon their left.掘り割りの外縁には白い石が敷き詰められた道があった。彼らが道に沿い西に向かうと左手には緑色の雲の如くに街並みがぬっと立ち上がった。cf. ever 強意語、訳しにくい語ですが、文脈に合わせて適宜言い換えます。With lights (being) down, it seemed easier to say the truth.明かりを落としていると、本当のことを言い易くなる様に思える。Without any acquaintances present at the party, Ioannis felt like a fish.out of a water.イオアニスはパーティーで知り合いが一人もおらず、まるで水から上がった魚のようだった。→ Without any acquaintances (being) present at the party....-----------------------------------------前置詞独立分詞構文の和訳の1例In short, to promote individual success, greater equality of opportunity, and a healthier society, we need a major shift in social policy toward early intervention,with later interventions designed to reinforce those early efforts.手短に言えば、個人の成功、機会均衡の拡大、より健全な社会を促進するためには、<それらの早期介入を補強するべく 後の介入が伴われて>我々は社会政策を早期介入へと大きく転換させる必要がある。*これだと何を言いたいのか日本語では直感的に把握出来ません。*with later interventions (being) designed to reinforce those early effortsこの付帯状況の分詞構文が訳しにくいです。そこで with 以下を切り離して別文(S+V構造)に仕立てて、主文の動詞 need を使い回しします。→ and later interventions needs to be designed to reinforce those early efforts.それら早期介入を補強するべく、後期介入が計画される必要があるのだ。主文同様に能動態に直して→ and we also need to design later interventions to reinforce those early efforts.そして我々はそれら早期介入を補強するべく、後期介入を計画する必要もあるのだ。和訳完成形手短に言えば、個人の成功、機会均衡の拡大、より健全な社会を促進するためには、我々は社会政策を早期介入の方向に大きく転換させる必要があり、また、それら早期介入を補強するべく、後期介入を計画する必要もあるのだ。*(need)early intervention vs.later invention の対比から、後の文をフルに組み立てます。*<with + 名詞+過去分詞>の意味の取れない語句の組み合わせを見つけたら、<取り敢えず> being を補って<with + 名詞+being+ 過去分詞>に直し、更には適宜能動態に書き換えて、文として独立させる、のが1つのコツですね。*この様な技法を心得ると入試問題の和訳もだいぶラクになる様に思います。懸垂分詞 Dangling participle*この用語をチラとでも耳にした方は少なくは無いのではと思います。*dangle = to hang or swing loosely だらりとぶら下がる、の意味ですから、上下にアップダウンする動作をイメージする懸垂の語は不適ですね。*ふら下がり分詞、と素直に和訳すれば良かった筈ですが。*要は、<分詞構文作成時に主文と分詞側の主語が一致しない場合は、分詞側の主語を省略してはならない>、との厳しい決まりがあるのですが、この掟破りを行うに際して、<分詞の主が不明となり、空中にぶら下がっている、足が地に着いていない>、との意味になります。*まぁ、言うなれば、家無き子の分詞を指します。*英語なる言語は、動詞の行為者が誰で有るのかを常に厳しく問う言語であることを理解すれば、英文法家のこの件に関する神経質振りも分かるでしょう。*独立分詞構文に仕立てあげるべきが、分詞側の主語を落としてしまう文法ミスですね。*文法遵守派はこれを許しませんが、言いたいことの意味は話の文脈、流れからほぼ間違いなく相手に伝わります。*但し、<この人、言葉の使用にぞんざいなところがあって注意力散漫タイプかも>、とインテリ上流階級からは勘ぐられてしまいます。---------------------------------------------改訂例以下は体操の選手である Biles を巡る記事を書いた或るスポーツライターの記事からのものですが、Excuse Me! Your Participle Is Dangling | Comma Queen | The New YorkerThe New Yorker 2016/06/20 https://youtu.be/DDrsHgl-OGwこの動画の内容を利用させて戴いています。1.文法面の修正Seeing Biles next to her competition at Pacific Rims, it seemed as if Isaac newton had written a different set of law on her behalf.パシフィック・リムズでバイルズの競技を間近で見ていると、まるでアイザック・ニュートンが彼女の為に別の法則を書いたかのようだった。*seeing の主語はこの文の書き手、或いは世間一般人を指すものと思われますが、主文の主語 it と一致していません。*以下の様に主語を一致させると文法的に正しい文に生まれ変わります。→Seeing Biles next to her competition at Pacific Rims, I felt as if Isaac newton had written a different set of law on her behalf.パシフィック・リムズでバイルズの競技を間近で見ていると、まるでアイザック・ニュートンが彼女の為に別の法則を書いたかのように私は感じた。(重力の法則が彼女には通じない)また次の文Spending times with Biles - I've rarely seen such excitement as when she hopped around her living room after her mother gave her permission to attend a G-Eazy concert - it became clear that her intense focus on the beam was more force than the giggling.パイルと時を過ごして−母親からヒップホップ歌手のGイージーのコンサートに行く許可をもらった後で彼女がリビングルームを飛び回った時ほどの彼女の興奮を私が目にする事は滅多に無かったのだが−彼女の平均台への強い集中力が、くすくす笑いの笑顔よりも大きな力を持っていることを私は知ったのだった。*spending の主語と、it が一致していません。*以下の様に主語を一致させると文法的に正しい文に生まれ変わります。*今度は主文の方を直さずに、分詞構文スタイルを止めて、副節に直します。これで主語一致の呪縛からは解放されますね。→After I spent time with Biles - I've rarely seen such excitement as when she hopped around her living room after her mother gave her permission to attend a G-Eazy concert - it became clear that her intense focus on the beam was more force than the giggling.パイルと時を過ごしたあとで−母親からヒップホップ歌手のGイージーのコンサートに行く許可をもらった後で彼女がリビングルームを飛び回った時ほどの彼女の興奮を私が目にする事は滅多に無かったのだが−彼女の平均台への強い集中力が、その時の彼女のくすくす笑いの笑顔よりも大きな力を持っていることを私は知ったのだった。2.表現の改訂*懸垂分詞を直したにしても、<彼女のくすくす笑い(への集中力)>を<彼女の平均台への集中力>と比較している、分かったような分からない様な、意味の明確性に欠ける似非文学的な文章ですね。*この文章の書き手は、懸垂分詞を平然と利用する事も含め、正確に対比して文章をモノする能力に欠けていることが良く分かります。以下の様に書き換えます:*her intense focus on the beam → her passion for the balance beam 彼女の平均台に掛ける情熱*the giggling.→ the degree of excitement then / her greatest joy at the time.その時の最高の興奮ぶり*2つの感情である passion と joy を対比させます。→it became clear that her passion for the balance beam was more than her greatest joy at the time.彼女の平均台に掛ける情熱が、その時の最大の喜び以上のものであることが明らかになった。→パイルが最高に興奮してリビングを飛び回ったのは、母親からGイージーのコンサートに行く許可をもらった時ぐらいのものだったが、彼女と過ごす内に、私は彼女の平均台に掛ける情熱が、その時の最大の喜び以上のものであることを知ったのだった。*まぁ、寸足らずな比較表現−そのままでは比較できないもの同士を比較する−は止めて明確に表現して貰いたいところです。*この手の比較や比喩表現は時々見ますが、そのままでは日本人には理解不可能です。*和訳時に一番時間を喰われるのがこの手の表現になりますが、勿論歓迎できません!*元々の英文が半端なレベルのものを日本人側がまともな英語に仕立て直してから和訳するのも奇妙ですし、その<ありのまま>の日本語を見て、こなれていない、けしからんなどと宣うのは英語の実態を知らない初心者の言動ですね。*元の英語が良くないと言う話です。*英語圏の通俗記事、文章などを見ると、気分で逃げる様な寸足らずの文学じみた表現、文法ミス、或いは推敲不足の悪文が多く、初学者がアタマを抱える事態を招くことが多いです。*まぁ、こちらも気分で分かったように読み捨てすれば、実際はそれで十分なのですが。*逆に言えば、社会的評価を受け、時代を生き残って来た優れた英文学作品、評論を選んで読解力を鍛えていくことには一定の合理性が確実にあります。*これは、日本の国語の授業時に、スポーツ新聞の三文記事などを教材に使う事が無いのと同様です。*当たり前のことなのですが、学習者に合わせて教材は選ばねばなりません。 |
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2025年7月10日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1 advanced level 以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第9回目です。 British Council Learn English Grammar C1 grammar Participle clauseshttps://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心としてここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。無人称独立分詞構文 Impersonal absolute participle construction*独立分詞構文に於いて、分詞表現側の主語が、世間一般人、或いは目の前に居る we, I, you を差す場合は省略します。*結果的に、分詞側に本来あるべき主語が消失しますので、人称が無い=無人称 impersonal の独立分詞構文だ、と呼称します。*<非人称独立分詞構文>と呼ぶ者も散見されますが、これは間違いです。*定型的な表現に限定されて利用されます。*詰まりは自由に作る事が出来ません。例えば、The baby was sleeping peacefully while I baked the cake.私がケーキを焼いている時に、赤ん坊はすやすやと寝ていた。これを無理遣り分詞構文化するとThe baby was sleeping peacefully I baking the cake. (注意: これは非文です)次にこの文の I を省略するとThe baby was sleeping peacefully baking the cake.と出来ますが、baking の主語が赤ん坊になってしまいます。*無人称化出来るのは、誤解を生まない定型句に限定される事がご理解戴けるでしょう。*定型的な表現に限定されつつあると言う事は、言語表現様式の自由度を失いつつあると言う事に他なりませんが、形骸化し半ば死語になりつつあることを意味します。*<ちょっと気軽に使える便利な>表現として、命脈を現時点まで保っている、とも言えます。*この意味で、仕事に使う口語英語−営利の為の折衝英語、或いは実務的な定型業務英語−では cliche 感丸出しではあっても便利に利用出来る筈です。*尤も、塾長としては、相手がこの類いの表現を使うと、<ちょっと逃げたしたくなる>類いの英語表現ですね。*それとは別に、学術論文を始め、formal な文中でも便利に利用出来るものがありますが、これは論理接続詞的な色合いの濃い利用法です。-----------------------------------------以下にて一通り触れていますが、ここにザッと再掲します。https://www.kensvetblog.net/column/202010/20201015/https://www.kensvetblog.net/column/202012/20201205/---------------------------会話、文中などで頻用される表現generally speakingGenerally speaking..if a grand idea happens to strike anyliving architect, it is not the effect of study.一般的に言って、もし大きなアイデアが現存の建築家(の心)にたまたま思い浮かんだとしても、それは勉学の効果ではない。(=勉強したからと言って優れた建築アイデアが浮かぶ訳では無い、持って生まれた才能だ)Generally speaking, most Japanese people possess the virtue of modesty.一般的に言って、日本人は謙譲の美徳を持っている。broadly speaking = generally speakingBroadly speaking, the women in that country are poorly treated.大雑把に言うと、あの国の女性は冷遇されている。properly speakingIt's not, properly speaking, champagne but it is very similar.正しく言うと、それはシャンパンではありませんが、大変よく似たものです。strictly speakingStrictly speaking, Great Britain consists of Scotland, Wales, and England, and the United Kingdom consists of Great Britain and Northern Ireland.厳密に言えば、大ブリテンはスコットランド、ウェールズ、及びイングランドから構成されており、連合王国は大ブリテンと北アイルランドから構成される。When the more precise vocabulary is available, vagueness can be reduced, but strictly speaking, it is not eliminated.より正しい語彙が得られれば曖昧さは減らせるが、厳密に言えば除外はされない。Strictly speaking, because our study only concerned a on-clinical sample, our conclusions should only address non-pathological functioning.厳密に言うと、我々の研究は非臨床的な試料のみに関与しているゆえ、結論は非病理学的な機能についてのみ扱う(考察する)ことになる。relatively speaking相対的に見ると・said when you are judging one thing in comparison with other things:他の事物と比較(して判断)するとRelatively speaking, it's a fairly poor country.相対的に見て、それは可なりの貧困国です。→他国と比較するとその国は相当の貧困国です。plain speakingあからさまに言えばIt's time for some plain speaking.ぶっちゃけ、何か喰わないか?roughly speaking大雑把に言って、概略、あらかたRoughly speaking, that is the state of the case.概略すれば事件の現況はこんなところです。He weighs 120 kg, roughly speaking.大ざっぱに言えば 彼の目方は120 キロだ。= He weighs roughly 120 kg.Talking (= Speaking) of〜と言えば.Talking of weather, how is it in Scotland this time of year?天気と言えば, 一年の今ごろのイングランド (の気候) はどうですか?より formal なシーンでも利用出来る表現以下の表現は、便利な論理接続詞として、やや硬いシーンでのスピーチ或いは論文などの formal な文中にて頻用されます。*皆さんも英作などで自由に使える様にすると便利かと思います。*分詞構文だ!などと意識せずにどしどし使って下さい!considering〜を考慮すると 〜を斟酌すると、〜の割には*〜を考えながら、の通常の意味もありますConsidering he did not study, he did well on the test.彼は勉強しなかった割に、試験はよくできた。(一種の譲歩表現)Taking everything into consideration, he bought the car.すべてのことを考慮して彼はその車を買った。Taking all things into consideration,his conduct can be excused.あらゆる事情を考慮すると、彼の行為は許される。judging from〜から判断して, 〜から察すると.Judging from what you said, he must be a very good man.君の言ったことから察するに、彼は非常に善良な人に違いない= If I judge from what you said, he must be a very good man.givengiven that〜を仮定すれば,〜がある[許される]とすれば、〜を考慮に入れると= ifGiven good health (Given that one is in good health), one can achieve anything.人間健康でいられれば何でも成し遂げられる.(even) granted [granting] (that)仮に〜だとしても、仮に〜(の言い分)を認めるにしても= even if , even thoughGranted [Granting] that what you say is true, it's no excuse.仮に君の言うことが本当だとしても, それは言い訳にはならない.= Even if what you say is true, it's no excuse.Granting it to be true [Granted that it is true, Granting that it is true], you are still in the wrong.たとえそれが本当にしても、やはり君の方が間違っている.Granting that he was drunk,―Granted that he was drunk,―that is no excuse for his behaviour.彼が酔っていたにしても、そう言ったところで彼の振る舞いの言い訳には全然ならない。(even) admittingAdmitting that you aren't a native English speaker, I'm sorry I don't catch what you'd like to express in the abstract of your paper.君がネイティブスピーカーで無い事は認めるにしても、残念ながら君が論文の抄録で何を言おうとしているのか理解出来ない。*adnitting の前に人称を於いて独立分詞構文として使う遣り方も幾らか観察されますが、 adnitting を動名詞として使い名詞句として利用するシーン(〜だと認めることは〜だ)が遙かに多いです。even supposing (that)= even if 仮に〜であるにしても、〜であると仮定するにしても*even が無い場合は、if の意味ですが、even が略されている場合もあります。その場合は適宜 even を補って解釈します。*後ろには現在時制、過去時制が取れます。単なる条件から仮定法まで利用が可能です。supposing (that)*分詞形にせずとも suppose (that) の形でも利用出来ます。*if の代わりとして利用出来ます。*口語では、もし〜するとどうかしら、の意味で、相手に物事を提案するシーンで使う例も多いですね。*今思いついた事をそのまま述べる様な利用ですね。*後ろには現在時制、過去時制が取れます。単なる条件から仮定法まで利用が可能です。*全く同じ用法で What if...? の表現も利用出来ます。Supposing this is not the right way to the station, what shall we do?これが駅に行く正しい道ではないとすると、俺たちはどうしたらいいのか?= If this is not the right way to the station, what shall we do?Supposing that it were true, nothing would be different.仮にそれが本当だとしても、何1つ変わらないだろう。(仮定法、譲歩表現)= Even if it were true, nothing would be different..Supposing I don't bring my car and You and I travel together, that would save us half the cost of gas and parking仮に僕が車を持っていかず、君と僕が一緒に旅行するとしたら、ガソリン代と駐車場代を半分節約できることになるけど。(話し手は、車を使いたくないと提案しています。)*that は前文の意味内容 that I don't bring my car and You and I travel together を示します。Supposing they had closed the road, would that have been a good idea?仮に彼らが道路を閉鎖したとしたら、それは良い考えだったと思う?(口語表現ですが、単なる条件の提示です。)assuming (that)= if もし〜なら、〜だとすると*assume は think, believe の意味に近いです。*我々日本人にはなじみが薄く、使い辛い動詞 assume ですが、仮定と言うと接続詞 if などを使って毎度モノを述べるだけではなく、〜と仮定する、〜ではないかと思う、の動詞 assume を使う様にもして下さい。If mistakes occurred, they were assumed to be the fault of the commander on the spot.= If mistakes occurred, they were thought to be the fault of the commander on the spot.ミスが起きたとしても、それはその場にいる指揮官の責任だとされた。cf. assume responsibility の用法で、責任を担う、引き受ける、の意味を持ちます。provided thatif, or only if: 〜の条件に限り (硬い表現であり、法律の文言などに良く利用されます)cf. provide = give の<高級表現>ILO conventions allow school children to work during their holidays and free time provided that strict safety measures are taken.国際労働機関の定期総会は、厳格な安全手段が執られる限りに於いて、学童が休日中若しくは自由時間中に労働することを認めている。cf. measures 複数形で<手段、手立て>の意味で頻用されます。 |
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2025年7月5日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1 advanced level 以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第8回目です。 British Council Learn English Grammar C1 grammar Participle clauseshttps://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心としてここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。一部の英例文を以下のサイトから借用しています:https://studfile.net/preview/3994497/page:5/https://studfile.net/preview/9777174/page:14/https://studfile.net/preview/4511119/page:57/The Nominative Absolute Participial Construction独立分詞構文 Absolute participle construction とは 2独立分詞構文の定型的表現*独立分詞構文の定型的表現は、歴史の篩いをくぐり抜けて生き延びて来ただけあって、簡潔で便利な表現なのですが、その一方、cliche クリシェ (仏語の型に填まったの意味に由来する紋切り型の陳腐な言い回しの意味)に感じられてしまう時もありますので、頻用するのは避けた方が良いかと思います。*元々短い表現ですが、最初から分詞表現化させていない通常の文を使うのも良さそうです。*口語でも使用されます。*独立分詞構文の定型的表現に関しては、以下に始まるシリーズにて詳述していますのでご参照下さい。https://www.kensvetblog.net/column/202009/20200920/Night coming on, we had to put up at an inn.夜が明けてきたので、宿に泊まることになった。→ As night came on, we had to put up at an inn.Speaking of the Japanese novelists, who do you like best?日本の小説家といえば、誰が一番好きですか?→ If we speak of the Japanese novelists, who do you like best?Taking all things into consideration, he is cold-hearted.あらゆることを考慮すると、彼は冷淡だ。→ If we take all things into consideration, he is cold-hearted.Time permitting, I will stay there longer.時間が許せば、もっと長く滞在するつもりだ。→ If time permits, I will stay there longer.Weather permitting, the ship will leave the harbour at dawn.Weather permitting, we'll start planting these beds tomorrow.天気が良ければ、明日からこの花壇に植え付けを始めます。→ If weather permits, we'll start planting these beds tomorrow.*同じ意味の別の表現としては、If the weather allowsAssuming the weather cooperatesConditional on the weather being goodなども利用出来るとされますが、実際、この様な言い方は塾長は過去数十年に亘り!一度も聞いたことはありません!独立分詞構文の一般文での利用*付帯状況を表す独立分詞構文を和訳するには、逆に主文の前に従属接続詞を置いて従属節化し、分詞表現側を主節に直した方が意味が鮮明になるケースも多いです。*口語では全く利用されませんし、近年は文章中にも使われなくなっていると思います。*時代掛かった文芸作品中には良く見ます。*時・理由、及び付帯状況・追加説明のものが殆どであり、譲歩、条件の例は少ないです。*特に条件となると、permitting や failing を用いた定型的用法(上で例示したもの)ばかりとなります。*独立分詞構文に於いて、主文と主語が一致する場合にそれを省略したとすれば、<普通>の分詞構文になりますね。-----------------------------------------1.同時進行・付帯状況*分詞構文の前に with を添える事も多いです。He sat watching the movie, tears rolling down his cheeks.彼は頬に涙を流しながら映画を見ていた。→ While he sat watching the movie, tears rolled down his cheeks.(元の主節側に while を添えて従属節化しています)Fingers trembling, the manager approached the president's office.マネージャーは指を震わせながら社長室に近づいた。→ When the manager approached the president's office, his fingers trembled.He came back from the library, his armes filled with books.腕を本でいっぱいにして彼は図書館から戻ってきた。→ When he came back from the library, his armes were filled with books.Their boots dripping mug on to the floor, the children returned from their hike in the woodsブーツから泥を床に垂らしながら子供たちは 森のハイキングから帰ってきた。→ When the children returned from their hike in the woods, their boots dripped mug on to the floor.On September 14th, with three day remaining, Thomas, Nelson, and Jones, all of them eager with excitement and anxious for the results, watched the progress carefully.残り3日となった9月14日、トーマス、ネルソン、ジョーンズの3人は、興奮に胸を躍らせ、結果を心待ちにしながら、進捗状況を注意深く見守った。→On September 14th, with three day remaining, Thomas, Nelson, and Jones watched the progress carefully. All of them were eager with excitement and were anxious for the results.残り3日となった9月14日、トーマス、ネルソン、ジョーンズは慎重に経過を見守った。全員が興奮に胸を躍らせ、結果を心待ちにしていた。(2文に分けただけです)He works hard to pass his examinations, his sister doing her best to help him.彼は試験に合格するために懸命に働き、妹は彼を助けるために最善を尽くしている。→ He works hard to pass his examinations, and his sister does her best to help him.She slowly went to the door, her leg still aching.彼女はまだ足が痛む中、ゆっくりと玄関に向かった。→ She slowly went to the door, while her leg still ached.She came into the room, her face pale.彼女は顔を青ざめながら部屋に入ってきた。→ She came into the room, with a pale face.2.時・理由The manager finally arriving from Canada, he able to start the meeting.漸くカナダからマネージャーが到着し、彼はミーティングを始めることができた。(時、理由)(主語が一致しないので主語the managerを削除せずに添えています。即ち The manager ≠he であることにご注意下さい。)→ When/Asthe manager finally arrived from Canada, he was able to start the meeting.The project finished, the employees were allowed to go home.事業計画は終了し、社員たちは帰宅を許された。 (時、理由)→ When/As the project was finished, the employees were allowed to go home.(動詞 finish はそれ自体で完了の意味を含みます。be finished = have been completed)The text having been analyzed, she proceeded to write the summary.文章を分析した後、彼女は要約を書き始めた。The sales goal (being) met, the company made a good profits in the last quarter.売上目標は達成され、会社は最終四半期に良い利益を上げた。(時、理由)→ The sales goal were met when/as the company made a good profits in the last quarter.His objective accomplished, the company president drove back to the head quarters to report the good news.目的は達成され、社長は良いニュースを報告するために本社に戻った。(時、理由)→ When/As his objective was accomplished, the company president drove back to the head quarters to report the good news.Our souls being realities and having their peculiar end, God has given them intelligence, that is to say, the possibilities of education.私たちの魂は実在し、固有の目的を持つものであるので、神は魂に知性、すなわち教育の可能性を与えた。(理由)→ As our souls are realities and have their peculiar end, God has given them intelligence, that is to say, the possibilities of education.The weather being rainny on Sunday, we stayed at home.日曜日の天気は雨だったので、私たちは家にいた。(理由)→ As the weather was rainny on Sunday, we stayed at home.She stood very erect, her body absolutely stiff with fury.彼女は怒りで体が硬直しており、直立不動だった。(理由)→ She stood very erect, as her body absolutely was stiff with fury.The question having been asked, the minister had to answer it somehow.質問された以上、大臣は何とか答えなければならなかった。(理由)→ Since the question had been asked, the minister had to answer it somehow.It being Saturday, everyone went out of town.その日は土曜日だったので、皆は町から外出した。(理由)→ As it was Saturday, everyone went out of town.There being no dictionary, they couldn't proceed with the translation.辞書がなかったので、翻訳を進めることができなかった。(理由)→ As there were no dictionary, they couldn't proceed with the translation.There being no bus, we had to walk all the way.バスがなかったので、私たちはずっと歩かなければならなかった。(理由)→ As there was no bus, we had to walk all the way.The wind blowing, Jane lift up the collar of her coat.風が吹き、ジェーンはコートの襟を立てた。(時、理由)→ When/As the wind blew, Jane lift up the collar of her coat.It being now late to say anything in his own defense, Gustaf kept silent.自身の弁明をするには、もう遅かったのでグスタフは黙っていた。(理由)→ As it was now late to say anything in his own defense, Gustaf kept silent.The phone rang, and there being nobody to answer it, Jane picked up the receiver.電話が鳴り、誰も出なかったので、ジェーンが受話器を取った。(理由)→ As the phone rang, and there was nobody to answer it, Jane picked up the receiver.The voices from the hall intervening with his thoughts, the doctor shut the door.ホールからの声が彼の思考を妨げたので、医師はドアを閉めた。(理由)→ As the voices from the hall intervened with his thoughts, the doctor shut the door.All the trees having been planted, we started working on the flowerbeds.すべての木が植えられたので、私たちは花壇に取りかかった。(時、理由)→After/As all the trees had been planted, we started working on the flowerbeds.-----------------------------------------3.譲歩They all went away, he remaining at home.彼らはみ皆去っていったが、彼は家に残った。→ They all went away, though he remained at home.-----------------------------------------4.情報の追加*この用法に関しては、本シリーズの第6回 <2.情報を付け加える分詞構文>にて触れています。 |
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2025年7月1日 皆様、KVC Tokyo 英語塾 塾長 藤野 健です。 これまでのシリーズの中にてところどころ断片的に分詞構文についての説明を行って来てはいましたが、意外や纏めて解説した事は無く、本構文シリーズの1つに加えるのも悪くない、いや欠かす方が寧ろおかしいぐらいですね。学校英語の場でも入試に際しても、必ず解釈を問われるのが分詞構文ですので、その意味合い並びに成立をがっちりと把握しておくことは勿論大きな強み、得点源となります。長文読解などに於いて、文構造が把握出来ない、何を言っているのか不明で困る、などのシーンでは、分詞構文が使用されているかどうかをまず見抜くことがキモになりますし、その様な<ヒネた>文章ゆえ、−誰でも分かる英文を和訳させても点差が付かなくなる−和訳しなさいなどと設問が為されることになります。特に難関大学の入試では、with で始まる付帯状況を表す分詞構文の意味をどうやって日本語に好適に変換するのか、などに習熟しておく必要があるでしょう。この辺りは、扱い方、和訳の遣り方の型がありますので、知っておいて損な事は全くありません。余談ですが、これまで扱って来た、条件法、否定、比較、倒置、省略、挿入、強調表現などに加え、分詞構文、更には関係詞も我が懐中の物としておく− native の規定する英語習熟度のランキングで言うと C1 advanced level 以上に相当します−と、語彙の面は別として、大学入試のみならず英語圏での文章にはほぼ対応が出来ることになります。逆に言えば、英文読解の極意ここにあり、なのですが、英語とは或る意味単純明快な言語であるとも言えましょう。 いわゆる付帯状況や情報の追加説明を便利に表現出来る用法を除き、口語では利用されることは普通は見られませんが、基本的に non-fiction writing ではなく、fiction writing に利用される表現として、分詞構文は軽い記述の書き物、エッセイ、に始まり、重々しい文学作品に至るまでの幅広い範囲で頻用されます。non-fiction に於いては、例えば(少なくとも現行の)自然科学の学術雑誌では、編集部の方針で利用を禁じていることが殆どですし、分詞構文の或る特定の記述形式(文末に、カンマ+doing の形で文を延長する単純接続の分詞構文)のみOKを出す雑誌も存在します。何故かと言うと、本来的に明確な意味を持つ接続詞を用いて文を明確に記述すべきところ、論理結合子である肝心の接続詞、更には主語までを省略し、副詞句として主文に添える形が分詞構文だからです。詰まりは、文が簡潔になったのは良いが、意味合いに曖昧性を持ち込んでしまう大きな欠点を併せ持つのが分詞構文になります。別な見方をすれば、書き手側が本来的にどの接続詞を用いるべきかを意識することなく、<取り敢えず知的にも見えるしサラっとこの修辞法を用いて文を述べて繋いでしまおう>との意識の表れか、とも言えそうです。これでは、読者に対して揺るぎの無い明確性に立ち真実を伝えんとする学術論文の場では適当な表現法とは言えなくなるのは自明かと思います。言わば、口語では利用されず、文章中では formal などとされて頻用されるものの、厳密な意味合いを伝達する場では利用出来ない、との半端な性質を持つ表現になります。まぁ、文学的な修辞に近い立ち位置ですね−表現に曖昧性を含ませることが(少なくとも嘗ての)英語の文学性の1つの特徴だったのかと勘ぐりたくもなります・・・。この様な分詞構文の抱えるマイナス点を明確に説明する国内外の動画などは塾長は殆ど見たことがなく、鹿爪顔で分詞構文の一通りの説明を事務仕事のように加えて済ますだけで、分詞構文利用の実態やその精神にまで深く踏み込んだ例は数少ないです。塾長は理系研究者としての経験と立場から、この様な点に対しても第三者的な切り込みを入れつつそろりと、いや濃厚に!、説明を加えて行きます。本シリーズの第7回目です。 British Council Learn English Grammar C1 grammar Participle clauseshttps://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/c1-grammar/participle-clauses『試験に出る英文法』 森一郎、青春出版社、1971年 第3章現在分詞・過去分詞 pp.48-53『チャート式 英文解釈』 鈴木進、数研出版、昭和51年、第2編文の構造上よりの解釈 第2章句を中心としてここの基本的構成並びに(難解な)例文を幾つか参考にしていますが、塾長なりの視点から批判的検討を加え、また一部、より現代的な、或いはより正しい明確な表現となる様、書き換えたものも併記しています。https://ja.wikipedia.org/wiki/絶対奪格https://en.wikipedia.org/wiki/Latin_syntax#Ablative_absolutehttps://lingvanex.com/translation/english-to-latin独立分詞構文 Absolute participle construction とは 1*主文の主語と分詞利用表現側の主語が異なる場合には、分詞側の主語は略さずにそのまま置く必要があります。*この様な形式の分詞構文を独立分詞構文 Absolute participle constructionと呼称します。Absolute phrases と呼ぶ場合もあります。*英語の absolute には、complete 完全な、絶対的な、の意味も有りますが、ここでは free from limitations, restrictions 制限を受けない、の意味であり、主文の主語の支配下からは独立した、との意味合いですね。*従ってこの absolute を絶対と訳し当てるのは間違いになります。*Absolute monarchy を絶対君主制と訳していますが、これも本来は独立君主制と訳すべきだったでしょうね。*<絶対>を使うと、我が儘を全て押し通して神のような絶対的存在として君臨してOK、のイメージになってしまいます。*実際のところ、そうでもあるのですが!*絶対の言葉に対しては反対語は相対ですので、では相対君主制とはなんですか、ともなります。*最初にこの訳語を当てた本邦の史学者が英語に弱かったと見えます。*意味用法的には、一般的な分詞構文と何ら変わらず、副詞句として主文に様々な意味で修飾したり、疑似分子構文用法として情報を付け加えたりします。*ただ、句側に別の主語が乗っかっているだけの違いになります。*まぁ、偉くも何ともありません!*こちらの分詞構文が寧ろ普通のものであり、主文と主語が共通している場合には、それを省いただけ、と考えるのが、近世分詞構文の成立の歴史を見ると正しい様にも見えます。*一般的な分詞構文と同様に、non-fiction writing よりも fiction writing により多く利用されます。*作り方は簡単で、副詞句とする側の文で接続詞を削除し、being, having been を削除し、動詞を分詞にします。その後、主文とすべき文と繋ぐだけです。In the middle of the speech, one contestant came running to the stage. His face was covered with sweat.→ be 動詞を削除In the middle of the speech, one contestant came running to the stage, (with) his face covered with sweat.スピーチの途中で、一人の出場者が汗まみれでステージに駆け寄った。In the second meting, the atmosphere became even worse. The managers argued and complained about each idea.→ argued と complained を ing 形にIn the second meting, the atmosphere became even worse, the managers argueing and complaining about each idea.2回目のミーティングでは、雰囲気はさらに悪くなり、マネジャーたちは自分のアイデアを主張し、互いに不平を述べた。*ここでは、argue = to quarrel, fight 言い争う、論争する、のニュアンスが強いですね。*付帯状況を表す独立分詞を主文の後ろに置くことも出来ますが、時や理由などを表す独立分詞部分は文頭に置きます。*分詞側の主語が一般人 you, we などを指す場合には、主文と異なる主語であっても略されますが、これらは全て慣用的な短い定型句になります。(無人称独立分詞構文と呼称します、次回にて説明します)*主文と主語が異なるのに、分詞表現側で勝手に主語を省略するケースが散見されますが、(意味は通じますが)完全な文法的誤用であり嫌われます。*この様な分詞は懸垂分詞と呼称されます。これも後ほど解説します。*動作主、詰まりは主語主体が何であるのかに常に留意する英語に於いて、別モノの主語を削除する行為は英語成立の根幹を揺るがすケシカラン行為となるのでしょう。*逆に、長い従属節の主語を残して動詞を分詞化して繋げる遣り方では、短縮化してキビキビした雰囲気をもたらすとの分詞構文化の意義が失せてしまいます。*まぁ、意味を持たない分詞構文化と言う次第ですが、元々短めの従節を更に分詞構文にするのが正しいと言う事になります。*付帯状況を表す独立分詞構文を和訳するには、単純に2文に分けるだけでも良いのですが、いずれかの文に、while, when を添えて訳すのも手です。*適宜、同時性を強調する文言を添えるのも良いでしょう。*付帯状況を表す独立分詞構文を和訳するには、主文の前に従属接続詞を置いて従属節化し、分詞側を主節に直した方が意味が鮮明になるケースも多いです。*詰まりは、付帯状況を表す独立分詞構文に於いては、文構成上の主従の上下関係が弱く、対等な同時性を示す表現に近いものである、即ち等位接続詞で繋げられる文のニュアンスが強いことを意味します。独立分詞構文の起源は何処にあるのか?以下に興味深い事が記されています:https://ja.wikipedia.org/wiki/絶対奪格「ablativus absolutus アブラーティーウス・アプソルートゥス)または独立奪格は、ラテン語の文法用語で、奪格(ablativus)名詞句が副詞句的に時・理由などを表す用法を指す。(中略)名詞の奪格がそれを修飾する語(分詞や形容詞、名詞など)の奪格を伴って、それぞれ主語と述語の関係をなし、主文(主節)の状況を示す副文(副詞節)のように用いられる。副詞節の働きをするものの接続詞なしに用いられるため、理由、時、条件、譲歩などのうちどれを意味するかは文脈に依存する。(中略)カエサルの著作では、絶対奪格はしばしば文頭に置かれた。さらに多くは段落の冒頭に置かれ、その区切りを意識して使用されていたと考えられている。主要な情報と副次的な情報を区分して、前者を主文の構文に任せて後者を担い、情報伝達を明確にする役割および、 文(段落)と文(段落)を深く確実に連結する語用論的役割を持っていた。 (中略)ラテン語の絶対奪格はヨーロッパの近代諸言語において、格の融合と縮退や分詞構文の発達形成に影響を及ぼした。」(Wikipedia contributors. "絶対奪格." Wikipedia. Wikipedia, 18 Dec. 2022. Web. 17 Mar. 2025. )*absolutus を絶対と訳すのは誤りで、独立と訳さねばなりません。*これは、英語に於ける独立分詞構文そのものにほぼ該当する内容となっています。*但しカエサル(英語読みでシーザー)の著作では、重要な情報(主文)とそうで無い情報(分詞側)を区別し、また新たな段落の開始を示すマーカーとして利用したとされ、漫然と分詞表現を垂れ流す様な英語での実態とは異なり、分詞を利用しながらも、それが明確な目的の下に利用されていたことが分かります。*まぁ、流石のラテン語です!以下、挙げられているラテン語の例文の一部 (以下母音の上の長音記号は表現出来ず、ここでは止む方無く削除しています)、及び塾長に拠る英訳です:Matre repugnante, filia sic fecit.母親が反対しているのに、娘はそのようにした。= Mother resisting, her daughter did so.→ Although the mother resisted, her daughter did so. (譲歩)Urbe capta, Aeneas fugit.都市が攻め落とされるとアエネーアースは逃走した。= The city captured, Aeneas flee.→After the city was captured, Aeneas fled. (時)→As the city was captured, Aeneas fled. (理由)Nostris visis, hostes fugerunt.我が軍を見ると、敵は逃げた。(我が軍が見られると、敵が逃げた。)= Seeing our own men, the enemy fled.→When the enemy saw our men, they fled. (時)→Since the enemy saw our men, they fled. (理由)(いずれの意味にも取れます)Ovidio exule Musae planguntur.ムーサはオウィディウスが流されて嘆いた。= Ovid exiled, Muses mourned.→ As Ovid were exiled, Muses mourned. (理由)Patre vivo, puella beata erat.父が生きている間は、少女は幸せだった。Her father living, she was a happy girl.→While her father lived she was a happy girl. (時)Ira calefacta, sapientia dormit.怒りに火がつけば知恵は眠り去る。= Anger fired, wisdom falls asleep.→ If anger fired, wisdom falls asleep. (条件)Domino absente, fenestram penetravit.家主がいないときに彼は窓から侵入した。= The master absent, he penetrated the window.→ When the master was absent, he penetrated the window. (時)→ As the master was absent, he penetrated the window. (理由)---------------------------------cf. 前置詞 during の起源Oxford dictionary 2nd ed. の during の項に、during = enduring, lasting, continuing, was used in Fr. and Eng. in a construction derived from the Latin 'ablative absolute'; thus L. vita durante, OF. vie durant, Eng. life during, while life endured or endures.during = 耐える、持続する、継続する、 の語は、ラテン語の' ablative absolute' (独立奪格) から派生した構文に於いてフランス語と英語では使われた; L. vita durante, OF. vie durant, Eng. life during, while life endured or endures の用例である。とされ、1440年以降1542年までの用例が掲載されています。*life during は独立分詞構文であり、while life endured or endures 人生(命)が続く間は、の意味とされます。1440 Jacob's Well (E.E.T.S.) 271 Sche was comoun to alle ゙ at wolde haue here, xv. _ere durynge.1480 Caxton Chron. Eng. lxxxviii. 72 She neuer was seyn among folke hir lyf durynge.1523 Ld. Berners Froiss. I. xxxviii. 52 This sege durynge, ther were many skirmysshes.1542-5 Brinklow Lament. lf. 12, I..will continuallye, my lyfe duringe, praye vnto the euerlyuinge God.The participle also often stood before the n., e.g. L. durante bello, F. durant la guerre, Eng. during the war; in which construction during came in the modern langs. to be treated as2. prep. Throughout the whole continuance of; hence, in the course of, in the time of.この分詞はまた、L. durante bello, F. duran t la guerre, Eng. during the war のように、しばしば名詞の前に置かれ、この構造の内に於いて during は近代英語では、全過程を通じて、の意味の前置詞、に、斯くして、その過程で、その期間の、の意味を持つようになった。とされ、以下、1385年以降の用例が列挙されています。c1385 Chaucer L.G.W. Prol. 283 (MS. Gg. 4. 27) Stedefaste wedewys durynge alle here lyuys.a1400-50 Alexander 1118 In damaging of Darius durand [Dublin endurand] his lyfe.14.. Epiph. in Tundale's Vis. 103 This contynued duryng mony a yere.1548 Hall Chron., Edw. IV, 221 An annuitie of an. C. l. [」100] duryng his lyfe.1585 T. Washington tr. Nicholay's Voy. i. xxii. 29 Al that which during our voyage was happened unto us.1648 Bury Wills (Camden) 203 Dureing the terme of her naturall life.1670 J. Smith Eng. Improv. Reviv'd 77 Trees may live during the world.1678 Lady Chaworth in 12th Rep. Hist. MSS. Comm. App. v. 49 Judge North, who supplies the Lord Chancelors place during his being sicke.1754 Hume Hist. Eng. (1812) I. iv. 281 During the course of seven hundred years.1860 Tyndall Glac. i. xxiii. 161 During the night the rain changed to snow.1885 Act 48 & 49 Vict. c. 58 ss.2 The hours during which the offices..shall be open.*ラテン語の短い文言、vita durante= life during (=命が続く限りは)の独立分詞構文として英仏に導入されたものが、位置が逆転して during が名詞の前に立つに至り、即ち、少なくとも14世紀には前置詞化していたと言うことになります。*durant =仏語動詞 durer の現在分詞形 = 英語動詞 dure (続く、耐える)の現在分詞形 = during*仏語の durant, 英語の during ともに、元々現在分詞として独立分詞構文に利用され、それらが転じて各々の言語で前置詞になった訳です。*発音も、仏語が デュロン、英語が デュアリング、と良く似ています。 |
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